設計・製造現場を変革する3D CAD/3Dデータ活用(2)
あなたのステークホルダーは誰ですか? 「組織」や「人」との関係を押さえる(1/2 ページ)
設計品質の向上、さらなる生産効率化など、設計・製造現場では常に厳しい要求が突き付けられている。そうした中、3D CADをはじめとしたツールの導入やより効果的な使い方を追求した組織としての取り組みも行われている。本連載では3D CAD/3Dデータ活用にフォーカスし、プロジェクト管理者がどのような視点で現場改革を推進していくべきか、そのヒントを提示する。連載第2回では、企業の目的・組織構造を理解し、ステークホルダーを明確にすることの重要性を解説する。
前回は設計・製造現場で、プロジェクトを円滑に進める上で不可欠な「ヒアリング」について取り上げました。
ヒアリングのゴールは、「自身がどうありたいか」「部門をどうしたいか」「会社をどうしたいか」という理想を明確にすることです。そして、そのゴールに対して、今「自分がどのような状況にいるのか」「どのようなことで困っているのか」「会社がどのような状況なのか」という現実を発見して、それらを自身の言葉で話してもらうことです。
企業の目的とは何か?
多くの場合、自分自身や(日々業務を行っている)所属部門の理想と現実を語ることはそれほど難しくないと思いますが、「会社」自身についてはどうでしょうか? そのためには、会社=“企業の目的とは何か?”を考える必要があります。
企業の目的とは「利益を生む」ことです(図1)。これは個人商店から大企業に至るまで、その分野が異なっても全てに共通の目的になります。例えば、筆者が日々取り組んでいるような3D CAD推進のプロジェクトも、最終的には“企業に利益をもたらすこと”が目的となるわけです。
それでは、「利益」とは何でしょうか?
技術職の方々は、この分野を不得意とするかもしれませんが、利益には“5つの利益”があります。
- 売上総利益 = 売上高-売上原価 ※粗利益とも呼ばれる
- 営業利益 = 売上総利益-販売費および一般管理費
- 経常利益 = 営業利益+営業外収益-営業外費用
- 税引前当期純利益 = 経常利益+特別利益-特別損失
- 当期純利益 税引前当期純利益から法人税や都道府県税などを差し引いたもの
最も基本的なものが、売上総利益になります。「黒字」「赤字」といわれるものは、営業利益がプラスなのか、マイナスなのかというお話になります。これらをさらに理解するのは、損益計算書(P/L:Profit and Loss Statement)や貸借対照表(B/S:Balance Sheet)、キャッシュフロー会計(C/F:Cash flow Statement)などを参考にしてみる(あるいは学んでみる)とよいでしょう。
3D CAD関連の設備を導入する場合、ハードウェアやソフトウェアの設備投資が必要となりますが、これらは原価に影響してきます。詳細についてはまた別の機会に触れたいと思いますが、こうした設備投資を行う際、プロジェクト推進者は常に「企業の目的」を忘れてはなりません。
企業における組織/組織における構造とは?
ヒアリングを実施する場合、複数の人と話をすることになるわけですが、事前に「誰にヒアリングするのか」を検討・計画する必要があります。
企業における最小構成単位は、組織の中における「人」になります。ここから企業内の人との関係を考えると同時に、企業の外との関係も考えることになります。「組織」「企業内外の人」との関係もプロジェクトを推進する上では、重要な要素です。
では、企業における組織とは何でしょうか? 組織にはどのようなものがあり、どのような構造になっているのでしょうか? 組織は、大きく次の2つに分類できます(図2)。
細かな内容については企業によって異なるかもしれませんが、基本的には何が直接費なのか、間接費なのかを判断することで分類できます。ちなみに筆者の経験では、3D CADを推進するための推進室や、開発部としてCAEを行っていた部門も目的は“設計をサポートすること”ですので、間接部門として扱われていました。
次に組織の構造です。組織の構造には次の2つがあります(図3)。
職能別組織は、「営業」「開発設計」「製造」「総務」といったように、各部門の技術や知識を集約していることから専門性に長けていることと、窓口が分かりやすいことに特徴があります。一方、事業別組織では、事業ごとに「企業」が構成され、それぞれの企業に各部門が属します。いずれもメリット/デメリットがあります。
職能別組織は、それぞれ専門的な部門が構成されることにより、窓口の集約化が図れ、業務の効率化に取り組みやすい一方、社内で何かを調整しようとした場合、部門間の対立が起こりやすいことが特徴です。
事業別組織は事業ごとに専門性を高めていることから、事業ごとの意思決定が職能別組織に比べ早くできます。しかし、その事業ごとの独立性が高いことから、事業間での技術のつながりが高くないことも多く、また顧客から見ると窓口が分散しているように見えます。
自社の組織形態を理解することは、プロジェクトを進行する上で不可欠です。ちなみに、筆者は事業部別組織を構成している企業に勤務していますが、ヒアリングを行う上でも、自社の組織を意識して全ての部門からヒアリングを実施してきました。
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設計・製造現場を変革する3D CAD/3Dデータ活用
設計品質の向上、さらなる生産効率化など、設計・製造現場では常に厳しい要求が突き付けられている。そうした中、3D CADをはじめとしたツールの導入やより効果的な使い方を追求した組織としての取り組みも行われている。本連載では3D CAD/3Dデータ活用にフォーカスし、プロジェクト管理者がどのような視点で現場改革を推進していくべきか、そのヒントを提示する。 ◎こんなキーワードに興味のある方にオススメ:[3D CAD][3Dデータ][3D推進][3次元設計][設計品質向上][ツール導入]
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