オートデスクが提供するクラウドベースの3次元設計開発プラットフォーム「Autodesk Fusion 360」。学生やメイカーズを中心に普及が進み、現在ではターゲットである製造業での利用も進みつつあるという。年額3万円台で3D CAD/CAM/CAE/ビジュアライゼーションといった豊富な機能群を利用でき、“モノづくりの未来”を視野に積極的な機能強化が続けられている。
3D CAD/CAM/CAE/ビジュアライゼーションなどが統合されたクラウドベースの3次元設計開発プラットフォーム「Autodesk Fusion 360」(以下、Fusion 360)をご存じだろうか。
学生や教育関係者、年間売上高が10万ドル未満のスタートアップ企業やホビーユーザーであればフル機能版の「Fusion 360 Ultimate」が無償で利用できるということで、ここ数年でユーザー数を増やし、近年では本来のターゲットである製造業にも徐々に導入され始めているという。
Fusion 360の登場は、2013年と比較的最近である。当時は英語版のみのリリースであり、一時「Inventor Fusion」と呼ばれた時期もあったという。このころはまだユーザーも限定的で主にホビーユーザーが中心だったようだが、現在「Fusion 360マスターズ」と呼ばれるハイレベルな日本人ユーザーの多くもこのころから利用していたそうだ。
そして、2015年夏にオートデスクの日本法人に初めてFusion 360のエバンジェリストが配属。同年秋に待望の日本語化を果たし、学生やメイカーズを中心に一気に普及していった。このタイミングで、解析機能やライブレビュー機能、コラボレーション機能、CAMや旋盤加工機能などが追加された他、ユーザー参加型の掲示板サイト(フォーラム)も開設し、ユーザー同士の交流、意見交換の場を提供することで、ユーザーコミュニティーの活性化にも力を入れてきた。
また、2016年のタイミングで「Rhinoceros」用のT-splinesプラグインの開発が終了し、T-splines技術を用いたフリーフォームモデリングが利用できる3D CADは、Fusion 360、Alias SpeedForm、Inventorのみとなった(ちなみに、2011年の段階でオートデスクがT-splines社を買収している)。そして2017年2月、オートデスクの日本法人にFusion 360の専任チームが組織され、現在、Fusion 360のさらなる普及に本腰を入れている。
2017年8月9日のメジャーアップデートにより、最新のFusion 360ではシートメタル(板金)機能やスケッチ機能などが追加された他、電子回路/プリント基板CADの「Autodesk EAGLE」との連携機能も搭載された(原稿執筆時点:2017年8月)。
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