設計・製造現場を変革する3D CAD/3Dデータ活用(5)
プロジェクトの種類と進め方を理解し、3D CAD推進に取り組もう!(1/2 ページ)
設計品質の向上、さらなる生産効率化など、設計・製造現場では常に厳しい要求が突き付けられている。そうした中、3D CADをはじめとしたツールの導入やより効果的な使い方を追求した組織としての取り組みも行われている。本連載では3D CAD/3Dデータ活用にフォーカスし、プロジェクト管理者がどのような視点で現場改革を推進していくべきか、そのヒントを提示する。連載第5回では、プロジェクトの種類や進め方の概要について解説する。
3D CADの運用効果にはどのようなものがあるのでしょうか。前回、設計部門が抱える問題と、関連部門から見た設計部門の問題が浮き彫りになりました。この“「問題がある」という現実”と“「こうありたい」という理想”との間にはギャップが存在し、そこから生じる「問題」に対してどのように取り組むのかが「課題」となります(詳しくは連載第1回をご参照ください)。
まずは、大きな分類として課題を明確にしていきましょう。
図1ですが、「3D CAD」という項目以外については、ツールである3D CADに直接的に結び付くものではなく、企業として必要としているものが描かれています。これは、3D CADによって実現しようとするものが単なるツールの置き換えではなく、「会社の技術や経営に貢献するものとしたい」という思いの表れでもあります。
筆者はこれまでの経験に基づき、3D CADの効果を得るため、またその目的として、関ものづくり研究所の関伸一氏が提唱する「TPD(Total Product Development:全社的製品開発)」に賛同し、これを目標としています。なお、TPDについては、3D CAD運用における全体像を紹介する際に触れることにします。
ここでは、図1の課題を目的に3D CAD推進のプロジェクトを進めていきます。プロジェクトの進め方としては、前回お話したように「目的」「なぜ」「誰が」「いつ(いつまでに)」「どのような方法で」「いくらの予算で」を決めることが重要です。
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プロジェクトの種類と進め方
代表的なプロジェクト進行の種類(スタイル)には、「ウォーターフォール」「スパイラル」「アジャイル」があります。こうした用語を聞くと「システム開発の話では?」と思われるかもしれませんが、3D CAD推進も立派なプロジェクトの1つですから、これらを理解しておいて損はありません。
なお、以下で紹介する内容は、あくまでも筆者の解釈です。ソフトウェア開発などのプロジェクトにおける考え方とは異なる部分があるかもしれませんので、あらかじめご了承ください。
1.ウォーターフォール
ウォーターフォール型のプロジェクトでは、1つの工程が終了してから、次の工程に移ります。上から下へ水が流れるようにプロジェクトを進めていきます。前工程が完了しないと次工程に移ることはありません。また、次工程が並列で進むことや、後戻りすることもありません。そのため、プロジェクトを進めるに当たり、時間がかかることもあります。おそらく一般的に行われているプロジェクト進行のスタイルではないでしょうか? 簡単なイメージを図2に示します。
2.スパイラル(繰り返し)
スパイラル型のプロジェクトでは、前述のウォーターフォールを何度も繰り返す手法だと筆者は理解しています。大枠の仕組みを構築し、それを繰り返すことによって詳細な仕組みを作っていくプロジェクト進行のスタイルだと理解してもよいと思います。
3.アジャイル(反復:イテレーション)
アジャイル型のプロジェクトでは、プロジェクトを短い開発期間で区切り、1つ1つの開発期間の中で「開発」「テスト」「運用」を繰り返していきます。前述のスパイラルと異なるのは、「イテレーション(iteration)」という仕組みの区切りを設けることだと筆者は解釈しています。例えば、仕組みの重用度の高い部分から構築していき、順次低い部分を構築していくことで、最終的に1つの仕組みを構築していくイメージでしょうか。それぞれのイテレーションの後はリリースでき、素早いサイクルを回すことが可能となります。図3はアジャイル型のプロジェクト進行の例となります。
以上、プロジェクト進行における3つのスタイルを紹介しましたが、それぞれメリットとデメリットがあります。おそらく一般的なプロジェクトの多くが、ウォーターフォール型で進められているのではないでしょうか(ソフトウェア開発現場を除く)。筆者自身もこれまでこの方法で複数のプロジェクトを推進してきました。しかしその一方で、小さな成功体験を得ながら、その効果をアピールしていくには、アジャイル型の方が適していると感じています。
3D CADの運用を全社展開する際、例えば、(1)はじめに設計部門で3D CADを導入して操作教育を行い、(2)次に運用手順書を作成し、(3)そして、データの格納方法を決めて、(4)製造部門でも3D CADデータを見えるようにする――といったように、重要性、導入効果、スピード感を得やすい順に進めていくというのもプロジェクト進行の1つの方法ではないでしょうか。もちろん、これらはプロジェクトを企画する段階でそのステップ(イテレーション)を決めているわけです。
皆さんも興味があれば、プロジェクトについてもっと深く学んでみたらいかがでしょうか。筆者の場合は「基本情報技術者試験」の勉強レベルですが、さらに学ぶのであれば、「PMBOK(Project Management Body of Knowledge)」というものがあります。日本語では「プロジェクトマネジメント知識体系ガイド」と訳されます。これは米国の非営利団体であるプロジェクトマネジメント協会(PMI:Project Management Institute)が発行しているものです。これらを習得した人向けの国際資格としては、PMI主催の「PMP(Project Management Professional)」というものがあります。筆者の知人にもPMPの有資格者がいますが、大変苦労して取得されたそうです。
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設計・製造現場を変革する3D CAD/3Dデータ活用
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