設計・製造現場を変革する3D CAD/3Dデータ活用(3)
「3D CADの立ち上げが思うように進まない」――聞き取り調査で問題を抽出せよ!(1/2 ページ)
設計品質の向上、さらなる生産効率化など、設計・製造現場では常に厳しい要求が突き付けられている。そうした中、3D CADをはじめとしたツールの導入やより効果的な使い方を追求した組織としての取り組みも行われている。本連載では3D CAD/3Dデータ活用にフォーカスし、プロジェクト管理者がどのような視点で現場改革を推進していくべきか、そのヒントを提示する。連載第3回では、「3D CADを導入したものの、その立ち上げが進まない」というテーマを取り上げ、解決に向けたアプローチを解説する。
前回、「3D CADが導入されても設計不良は減少せず、導入効果が表れていない」という問題を探るために、企業内のステークホルダーに対してヒアリングを実施したことを紹介しました。ヒアリングを実施する目的は、「『問題』を発見して、『課題』を設定すること」にありました。
今回は、別の問題として「3D CADを導入したものの、その立ち上げが進まない」というテーマを取り上げたいと思います。
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誰に話を聞くのか……、経営層も忘れずに! その理由は?
「なぜ立ち上げが進まないのか」という問題の詳細抽出と課題を見つけるために、まずは当該部署である設計部門に対してヒアリングを行います。この後でお話しすることになりますが、実はこの問題は「3D CADをしっかりと立ち上げる」というプロジェクトへ発展する可能性があります。
“ヒアリング”という言葉は今ではそれ自身が意味を持っていますが、あえて言い換えるのであれば「聞き取り調査」です。調査方法としては、個人と個人の間や、複数人の間で「面談(集団面談)」を行う、または「アンケート形式」による情報収集手段があります。筆者の場合は、3D CADを推進するプロジェクトを進める上で、次のようなヒアリングを行っています。
まずは、“誰に聞くのか”を決める必要があります。
「3D CADの立ち上げが進まない」という当該部署は、“メカ設計部門”です。この状況を聞くために、メカ設計部員全員をヒアリング対象とします。次に、メカ設計部門と関連性の強い部門や人の抽出を行います。
また重要なのは、“経営層”の存在です。こうした取り組みは、今後プロジェクトに発展するかもしれません。“プロジェクトとは?”についてはあらためて説明しますが、プロジェクトを行うには、人・モノ・金が必要になり、経営層の理解なしではプロジェクトを推進することはできません。
次に考えなければならないのは、“社内のステークホルダー”です。具体的に言えば、設計の影響を受ける部門と人になります。これらも全ての人と話ができればよいのですが、時間の制約や効率を考えて、“キーマン“を対象としています。
まとめると以下のようになります。
- 設計者……メカ設計部員(全員)
- キーマン……制御ハードウェア設計、制御ソフトウェア設計、資材部門、営業部門、製造部門、加工部門
- 経営層……社長、取締役
経営層へのヒアリングは、それまでのヒアリング結果をまとめた上で、“状況報告”を行うとともに“期待値”を聞くことになります。
ブレーンストーミングの約束事
筆者の場合は、個人面談を主体にヒアリングを行っていますが、集団での面談を実施する場合、「ブレーンストーミング(Brainstorming)」という方法があります。参加メンバー間で自由闊達に意見やアイデアを出し合うことで連鎖反応が起き、そこから新たな意見やアイデアが生まれる手法です。皆さんも企業研修などで、このブレーンストーミングを利用したことがあるのではないでしょうか? 以下、筆者の経験から“ブレーンストーミングの約束事”についてお話しします。
1.目的を明確にする
“何を話し合うのか”を、まず明確にする必要があります。ここでは「『3D CADの立ち上げがなぜ進まないのか』意見を聞きたい」と、その目的を参加者に理解してもらいます。
2.話しやすい場にする
前回、ヒアリングする上で“傾聴すること”の重要性をお話ししました。固定概念の押し付けや、参加者の意見をお互い否定しないことです。これにより自由闊達な意見を引き出すことが可能になります。また話し合う内容の結論付けをしないということも重要です。なぜならここでは、多くの意見を引き出すことを目的にしているからです。
3.自由な意見
参加者のどんな意見でも否定はしません。“突拍子もない意見”が実はとてもいい意見だったりすることもあります。否定しないこと、ここでは結論付けしないということをお話ししましたが、ここで必要なのは“質より量”です。ただし、あまりに発散し過ぎてしまうと効率的ではないので、ファシリテーター(facilitator)はここを注意する必要があります。ファシリテーターとは、議事進行役を務める人ですから、最もその趣旨を理解している必要があります。
4.意見の足し算
意見と意見を足し合わせて膨らませていくことで、新しい発想に展開してくことも必要です。他の人の意見に便乗しながらどんどん発想を膨らませていくとよいでしょう。必要なのは“プラスの展開”です。
余談ですが、ブレーンストーミングは通常の業務で行われる会議とは異質のものです。このように自由闊達な意見交換ができるのであれば、会議も苦痛ではないでしょう。
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設計・製造現場を変革する3D CAD/3Dデータ活用
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