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» 2018年06月11日 09時00分 公開

スマートファクトリージャパン 2018:なぜConnected Industriesは必要か? 製造業に迫る4つの「危機」 (1/2)

スマート工場など革新的な取り組みへの必要性が叫ばれて久しく、経済産業省もコンセプト「Connected Industries」を打ち出している。なぜConnected Industriesは必要なのか? 製造業に迫る4つの「危機感」から経産省の局長が必要性を訴える。

[渡邊宏,TechFactory]

「スマート工場」など変革期を迎える製造業

photo 経済産業省 多田明弘氏(製造産業局 局長)

 製造業において、「スマート工場」など革新的な取り組みの重要性が叫ばれて久しい。日本製造業の現場力は依然として高いレベルにあるものの、「ものづくり」だけでは付加価値を獲得しにくくなっているという現状があり、また、人材の質量ともに渡る不足も無視できないレベルにまで高まっている。

 これはつまり、現場レベルでの改善では諸問題の解決が難しく、経営層も含めた抜本的な改革が求められていることも示している。政府としても事態を静観している訳ではなく、経済産業省が基本方針「Connected Industries」を提唱・推進することで、日本製造業の質・量に渡る改革を後押ししようとしている。ただ、このConnected Industriesは包括的な概念であり、具体的なアプローチに関して分かりにくい部分があることも事実だ。

 展示会「スマートファクトリージャパン 2018」で行われた経済産業省 多田明弘氏(製造産業局)の講演「大変革に直面する製造業と“Connected Industries”推進に向けた取組」より、なぜConnected Industriesが必要なのか、実現向けた課題は何かを紹介する。


製造業の足元は明るいが「環境は非常に厳しい」その理由

 多田氏は2018年5月29日に公開された「平成29年度ものづくり基盤技術の振興施策」(ものづくり白書)を紹介しながら開口一番、「製造業を取り巻く環境は非常に厳しい」と危機感をあらわにする。

 経済産業省の調べでは2017年及び2018年の製造業における売上高と経常利益はともに増加傾向であり、今後の見通しについても、向こう3年間は明るいと予測されている。しかし、長期的な課題に目をやると「データ活用」と「人材確保」について、改善の兆しは見えていない。

 データの重要性はさまざまな場所で声高に主張されており、ものづくり白書でも「国内工場の67.6%で何らかのデータ収集が行われている」と紹介されるなど、意識の変革は起こっている。しかし、データ収集の普及は前年比と大きな差がなく、「データを活用していく」という観点についても「見える化」や「プロセス改善」といった実際の利活用は進んでいないと白書で報告されている。

データ活用の状況 データ活用の状況。データ収集と利活用については前年比で横ばいになっており、「経営主導の具体的行動が必要」という

 人材不足は「ビジネスにもに影響が出るレベル」(多田氏)にまで深刻化しており、質量ともに充足が大きな課題となっている。対策としては新卒採用にこだわる傾向がまだ強いものの、「自動機やロボット導入による自動化・省人化」「データ活用による合理化」といった手段での対処を検討する企業が増えている。

 いわゆるデジタル人材については製造業全体で不足しているという認識にあるが、ものづくり白書を見ると「業務に不要である」という回答もまだ多い。その理由としては「費用対効果が見込めない」「業務に付加価値がでるとは思えない」などが挙げられている。これについて多田氏は「メリットの訴求が大きな課題であると考えている」と述べた。

ものづくり白書から浮かび上がる、4つの危機感

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