複数AIの協調でロボットとAGVの「止まらないピッキング」を実現:日立製作所 複数AI協調制御技術
日立製作所がピッキング用ロボットと自律型搬送車(AGV)を統合制御することで作業時間を短縮する、複合AI統合制御の技術を開発した。2〜3年後をめどに、この技術を実装した物流ロボットシステムの製品化を目指す。
日立製作所は2018年5月28日、ピッキング用ロボットアームと自律型搬送台車(AGV)を統合制御することで、作業時間を短縮する「複数AI協調制御技術」を発表した。実験では従来方式で13秒かかっていた作業時間を8秒に短縮、約38%の作業時間短縮に成功しており、同社では本技術を搭載した物流作業ロボットシステムの製品化を目指す。
物流倉庫では倉庫内の荷物から注文に応じた荷物を集めるピッキング作業が恒常的に発生するが、人手不足や物流量の増大などから作業の自動化/効率化が強く求められている。
作業を支援するため、無人制御されて棚やケースといった単位で荷物を運ぶ搬送台車(無人搬送車:AGV)も既に実用化されており、ここにピッキングロボットを組み合わせたシステムの開発も進められている。しかし、棚やケースで運ばれる荷物は多種多彩であり、また、移動のために荷積み状態が変化するため、ピッキング前に台車を停止させる必要があった。
今回、日立製作所は「カメラ画像から最適なピッキング方式を判断するAI」と「リアルタイムに複数のAIを協調制御させる技術」を組み合わせ、移動する台車を停止させることなくロボットアームによるピッキングを可能にした。その結果、従来方式では13秒かかっていた作業時間を8秒に短縮、約38%という作業時間の高速化を実現している。
◎「産業用ロボット」関連記事 〜トレンド、導入・活用事例、効果、課題〜 など
» オムロンが示す「産業用ロボットの未来」――人との新たな協調、設備との協調へ
» 「生産現場でのロボット活用」を進めるために必要なプレイヤーとは
» 産業用ロボットがハックされる!? トレンドマイクロがサイバー攻撃のリスクを検証
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- AI搭載ロボットによる次世代型物流倉庫――歩行作業を大幅軽減し、省人化を実現
協栄産業は、千葉県印西市にあるプロロジスパーク千葉ニュータウンで、AI機能搭載の無人搬送ロボット「EVE」(ギークプラス製)を用いた「物流ロボットシステム」の見学会を開催した。フルフィルメントプロバイダーであるアッカ・インターナショナルのピッキングエリアで実際に稼働しているロボットを活用したピッキングシステムの様子を紹介する。 - 工具通販大手の物流拠点に無人搬送車154台導入、省力化狙う
工具通販大手MonotaROの新物流拠点に、日立製作所の低床式無人搬送車「Racrew」(ラックル)が導入された。拠点の自動化を進めることで省力化と生産性の向上を狙う。 - 勝ち残るため「何」を提供するのか、日立製作所に見る事業創造の手法
製造業といっても製品の製造販売だけではなく、サービスを強化する方針やIoTを利用した新たな価値創造が注目されている。シンクロン・ジャパンらが開催したセミナーより、日立製作所の講演を紹介する。 - 製造業における「バリューチェーン」の変革とは何か
製造業におけるIoTの導入は新たな価値の発見につながりますが、その際にはバリューチェーン(価値連鎖)を意識した分析や活動が求められます。IoTにおけるバリューチェーンとは何か、考えてみましょう。 - OTとITのデータを統合して分析するデータ分析基盤、日立が提供開始
日立製作所が現場から発生するOTデータに加えて、業務システムなどのITデータも統合分析するデータ分析基盤を開発。提供を開始した。