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「チープカシオ」の組立を自動化、国内回帰を低コスト実現したカシオのモノづくり:シリーズ「モノづくりの現場から」(カシオ計算機 山形カシオ)(1/2 ページ)
カシオが低価格時計「チープカシオ」の生産を、国内で自動化する。基本的に腕時計はデザインバリエーションの多さなどから生産自動化に向かない製品であるが、あえてカシオは自動化に踏み切った。その理由と手法を紹介する。
腕時計の生産ライン自動化、2018年内に本格稼働
カシオ計算機がロングセラーデジタル腕時計の生産を、国内工場にて全自動化する。山形カシオ(山形県東根市)に新造した自動生産ラインは1日5000個の生産能力を有しており、2018年内に本格的な自動生産を開始する予定だ(関連記事:山形カシオで“チープカシオ”の自動組み立てラインが稼働、生産効率が約3倍に)。現在は、日本、中国、タイの生産拠点で手作業による生産が行われている。
対象になるモデルは30年以上前に設計されたデジタル腕時計「スタンダード」シリーズの一部で、中東などでは20ドル程度の価格で販売されている低価格製品だ。日本では手ごろなファッションアイテムとして「チープカシオ」と呼ばれ人気だが、正確さや信頼性で高い評価を得ており、欧米や中東、アジアなど幅広いエリアで売れ続けている。
腕時計は製品バリエーションの豊富さやモデルチェンジの早さなどから組み立ての最終段階は手作業で行われることが一般的であり、生産自動化に向いた製品とは言いにくい。
しかし、今回生産の自動化が行われるデジタル腕時計は前述のように低価格商品であり、年間数百万個単位で生産されている。自動化を「低価格品の大量生産」と見れば、製造業が古くから行っているアプローチであり、これまでは安価な海外製造コストによってその価格を維持してきたが、今、国内での自動化ラインを用意した理由は何か。
腕時計は生産自動化に「向かない」
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