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収束しない現代的CPUの脆弱性と、苦境を脱せないQualcomm:大原雄介のエレ・組み込みプレイバック(2/3 ページ)
2018年3月のエレクトロニクス/組み込み業界は話題豊富だった。「現代的CPU」の脆弱性は収束の気配を見せず、Qualcommは大統領令で買収の危機を乗り切ったように見えるが、実はまだ苦境から脱していない。
時系列で見るQualcomm買収劇、そして苦境へ
そうした中でひときわ大きなニュースになり、しかも、大統領令が出ながらも「まだ終わっていない」のがBroadcomによるQualcomm買収である。これに関しては多くの報道がなされているが、まずは時系列で一連の動きをまとめてみた。
2017年11月 BroadcomがQualcommに買収提案
2017年11月 | 出来事 |
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2017年11月3日 | Broadcomが本社機能をシンガポールから米国に移転することを発表(Broadcom:Broadcom Limited Announces Intention to Redomicile in the United States) |
2017年11月6日 | BroadcomがQualcommに対して買収提案を行う。一株あたり70ドルを60ドルの現金及び10ドル相当の株式の形で支払い、総額は約1300億ドルになる。同日、Qualcommはこの提案を受け取ったことを発表する(ITmedia NEWS:Broadcom、Qualcommに1300億ドルでの買収提案) |
2017年11月13日 | Qualcommの取締役会は、買収案が不当に低い評価であるとしてこれを拒絶したことを発表する。同日Broadcomは、引き続き買収を進める旨を発表する(ITmedia NEWS:Qualcomm、Broadcomによる1300億ドルでの買収提案を拒否) |
2017年12月 敵対的買収に乗り出すBroadcom
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