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収束しない現代的CPUの脆弱性と、苦境を脱せないQualcomm:大原雄介のエレ・組み込みプレイバック(1/3 ページ)
2018年3月のエレクトロニクス/組み込み業界は話題豊富だった。「現代的CPU」の脆弱性は収束の気配を見せず、Qualcommは大統領令で買収の危機を乗り切ったように見えるが、実はまだ苦境から脱していない。
収束の気配が見えない「現代的CPU」の脆弱性
2018年3月もエレクトロニクス/組み込み業界の話題は豊富だった。
CPUの脆弱(ぜいじゃく)性「Spectre」「Meltdown」に関して、Intelは新しい実装を搭載したCascade Lakeを2018年後半に投入する事を表明した一方、Microsoftの対応パッチがWindows 7/Windows Server 2008 R2で新たなバグを引き起こすという報告が2018年3月末にあり、おまけに同年3月24日から開催されていたASPLOS2018(ACM International Conference on Architectural Support for Programming Languages and Operating Systems)では新たに「BranchScope」と呼ばれる、予測分岐ユニットを利用したアタックが公開されている。
このBranchScopeもSpectreやMeltdownと同様、最新のIntel CPUで問題となることが明らかになっており、これに対する対応や、Intel以外のCPUでの状況などは原稿執筆時点(2018年4月1日現在)で明らかになっていないなど、まだまだこの脆弱性に関する状況は収まりそうにない。
自力再建を目指すLatticeは前途多難
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