クルザニッチCEOがインテルを去った「本当」の理由:大原雄介のエレ・組み込みプレイバック(1/2 ページ)
2018年夏はエレクトロニクス企業の首脳が相次いで離職した時期として記録されるかもしれない。インテルにラムバス、それにTIのCEOが辞任し、QualcommのNXP買収もご破算となったことで戦略の再構築を迫られている。
2018年7月はなかなか刺激的な出来事がいくつかあったので、それぞれかいつまんで紹介したいと思う。
インテルにラムバス、それにTI。相次ぐCEO辞任
2018年6月から7月にかけ、相次いでエレクトロニクス企業の最高経営責任者(CEO)が席を追われた。まずは6月21日、IntelのBrian Krzanich CEOが「Intelの従業員と合意に基づく関係」(Mr. Krzanich had a past consensual relationship with an Intel employee)を持ったという理由でCEO及び取締役会議長から辞任した(プレスリリース)。
次が6月28日である。Rambusは同社のRon Black CEOが「Black博士の行動は、同社の基準に満たないと取締役会が判断した」(Board determined Dr. Black’s conduct fell short of the Company's standards)という理由でCEOと取締役会議長、両方の座を辞任している(プレスリリース)。
最後がTexas Instruments(TI)である。7月17日に同社のBrian Crutcher CEOが「Crutcher氏は同社の行動規範に違反したために辞任した」(Crutcher resigned due to violations of the company's code of conduct)と発表された(プレスリリース)。
CEOが追われる理由
Krzanich氏の話は後述するとして、Ron Black博士は業界で“浮いて”いたRambusを高速シグナル&セキュリティのIPを核とした有望企業に変身させた功労者である。Brian Crutcher氏はTI勤務22年のたたき上げであり、2018年6月にCEOの座についたばかりである。どちらも普通に考えたらちょっと信じられない事態である。
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