クルザニッチCEOがインテルを去った「本当」の理由:大原雄介のエレ・組み込みプレイバック(2/2 ページ)
2018年夏はエレクトロニクス企業の首脳が相次いで離職した時期として記録されるかもしれない。インテルにラムバス、それにTIのCEOが辞任し、QualcommのNXP買収もご破算となったことで戦略の再構築を迫られている。
NXPの行方
2018年7月末にはもう1つ大きなニュースがあった。既報の通り、QualcommがNXP Semiconductors(以下、NXP)の買収を断念したのだ。今回の買収断念によりQualcommはNXPに違約金20億ドルを支払うことで一連の買収話は収束する。
これによりQualcommは新たな成長戦略を描き直す必要に迫られているが、実は買収を免れたNXPにしても話は同じである。もともとQualcommとNXPでは被る事業分野がほとんどない。例えば携帯電話ならQualcommは端末、NXPは基地局とRFに強みがある。自動車ならQualcommはインフォテイメントとコネクティッドカー、NXPはECUとライダー、セルラー以外のV2X(車車間/路車間通信)に強みがあるという具合だ。
強いて言えばアプリケーションプロセッサの分野でi.MXシリーズとSnapdragonの下位グレードに重複がみられるものの、このマーケットはSnapdragonのプレセンスが非常に小さいので、現実問題としてi.MXとの重複は問題にならない(関連記事:「COMPUTEX TAIPEI 2018」で静かに始まるx86からArmへの置き換え)。
また、MCUについてもNXPのKinetisとQualcomm Athelos/Qualcomm CSRが重複するものの、こちらもNXPが圧倒的に強い一方、Athelos/CSRの方はコネクティビリティがメインなので、上手に住み分けができているというべきか。
ただ、だからこそ両社は一緒になることで補完関係を見いだそうとしたわけで、これが破談になった今、NXPはQualcommが補ってくれるはずだったポートフォリオを別の方法で補わなければならない。
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