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組み込みソフトウェア品質の「特異性」と付き合い方:IoT時代の組み込み系ソフトウェア品質(2)(1/7 ページ)
ソフトウェアが無形のモノである以上、その「品質」も推して知るべし。把握も容易ではない。まずは「ソフトウェアとは何者か」を考察した上で、組み込みソフトウェア品質についての歩みを進めたい。
ソフトウェアは水のように生々流転を繰り返し形も色もない。モノとコトの両面を持つ不思議なものである。そしてソフトウェア品質はこの奇妙奇天烈なソフトウェアを対象にした品質であり、まことに厄介な代物である。
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連載:IoT時代の組み込み系ソフトウェア品質
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1.ソフトウェアとは何者か
ソフトウェア品質を見ていく前に、そもそもソフトウェアとは何者か、どんな性質があり、どんな性格をしているのか、どんな振る舞いをするのか。それを見ていくことにする。
1.1 ソフトウェアは見えない不思議なもの
ソフトウェアは単純なモノではない。直接は見ることも聞くこともできず、プログラムリストとして、画面や紙にプログラムを転写させることでのみ、やっとその存在を確認できる。
ソフトウェアはハードウェアがないと動かず意味もないが、ハードウェアを動かす手順書のようにハードウェアを支配する。そしてソフトウェアは固定的な手順書から成長して、より動的により抽象的なものになることができ、人工知能などのように1つの思考にもなることができ、さらに思想にもなりえる千変万化の不思議なものである。
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