エレクトロニクス/組み込み業界の動向をウオッチする連載。今回はSamsungが3nm世代で採用、量産開始したGAA(Gate-All-Around)にフォーカスする。
2022年6月末日、Samsungが3nm世代でGAA(Gate-All-Around)トランジスタ構造を採用した3GAEプロセスの量産開始を発表した。これに先立ちTSMCは2nm世代でやはりGAAの採用を発表している。IntelもGAAをIntel 20A世代で採用する事を発表しており、SamsungがこのGAA競争の先鞭(せんべん)をつけた格好だ。ということで、今月はこの話をご紹介したい。
まずGAAという構造そのものを簡単にご紹介したいと思う。図1は、従来のPlanar(平面)型と現在主流となっているFinFET、それと新しく投入されるGAAの構造を比較したものだ。ちなみにこれはトランジスタを横から見た図であり、電流は図の奥から手前(もしくは手前から奥)に流れる形になる。
さて一番左のPlanar型で説明すると、トランジスタの電流そのものはシリコン基板の中の点線で囲われた「チャネル」の中を流れる。もちろん流れっぱなしだとトランジスタである意味がないが、この流れはゲートという部分に電圧を掛ける事で制御可能である。ただ厄介なのは、ゲートに電圧を掛けることで、絶縁膜付近の電流は制御できるが、そこから離れた部分では電流が流れっぱなしになる現象が発生する。これがリーク電流と言われるもので、Planer型ではこのリーク電流が特に90nm世代あたりから大問題になってきていた。
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