大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
Samsungが3nm世代で採用した「GAA」とは(5/5 ページ)
さて、そのGAAに関して最後に手を挙げたのがTSMCである。もっとも以前から「3nm世代まではFinFETで行く」という発言をしており、裏を返せば2nm世代以降はGAAに移行するという暗黙の宣言だったと理解できるのだが、6月16日に開催されたTSMC 2022 North America Technology Symposiumで、公式にN2プロセスがナノシートを利用したGAAになる事を表明した。こちらは同社の3nm世代(N3)プロセスと比較して、10~15%の性能向上(同一消費電力)または25~30%の消費電力削減(同一周波数)を実現できるという以上の説明はない。また量産開始は2025年になるとした。このあたりはSamsungに比べると3年ものビハインドを負うことになるのだが、逆に言えばTSMCはSamsungの3GAEあるいは3GAPはN3/N3Eプロセスで十分競合できる、と考えて居る事になる。先のPhoto05で、Samsungは2nm世代(2GAP)を2025年に量産開始すると発表しており、TSMCのN2はこの2GAPとちょうど勝負する形になる。
ビハインドはあるものの、現在のTSMCは特にEUVに関して言えば既にN7/N6/N5という3世代のプロセスの量産に利用しており、何しろ全世界のEUV露光機の半分以上がTSMCにあるという状態であるから、この当たりは既にEUVを利用しての量産は始めているものの採用事例がそう多くないSamsungや、これからEUVの量産を始めるIntelに比べるとアドバンテージは十分であり、それもあってGAAの様な「色物」で差別化を図らなくてもよい、と考えて居る様にも見える。上でちょっと名前だけ書いたが、既に基本となるN3プロセスに加え、これの改良型であるN3Eプロセスを当初予定(2023年第3四半期)から前倒しして2023年第2四半期に量産開始すると報じられており、逆にGAAに関しては十分に技術的に熟成した状態で市場投入する事を目論んでいる様だ。
そんな訳で、早くもFinFETの次の世代が始まった半導体業界であるが、GAAが一般的に広く使われるのは2025年以降になりそうである。あとはSamsungが頑張って3GAPで顧客を確保することで、競合するIntelやTSMCがGAAの導入を前倒しするような事態が発生するかどうか、というのが見どころになりそうである。
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