「モノづくりに携わる人」だからこそ、もう無関心ではいられない情報セキュリティ対策。しかし、堅苦しい内容はちょっと苦手……という方に向けて、今日から使えるセキュリティ雑学をお届け! 今回は、IPAの「情報処理システム高信頼化教訓集」について取り上げます。
「信頼性」は製造業における最重要項目です。これは、他のITシステムでも同様ではありますが、突然の生産ライン(操業)停止、予期せぬ不良の大量発生といった大規模障害は、そのままダイレクトに“損失”や“信頼の低下”につながります。
このような事態を未然に防ぐためには、生産設備などの日常的な点検や整備が欠かせません。よく熟練作業者であれば、音や振動などからわずかな異常を捉え、適切なメンテナンスを迅速に実行できると聞きますが、そうした存在は障害発生を瀬戸際で食い止めるキーマンといえるでしょう。
しかしながら、こうした熟練作業者たちは高齢化により第一線を退きつつあります。そのため、信頼性や品質に関わる技術伝承は業界全体の大きな課題となっています。また、IoT(Internet of Things)活用によるスマート工場の実現などの流れを受け、製造現場のIT化/オープン化も急速に進んでおり、従来のような作業者のKKD(勘、経験、度胸)だけに頼った運用は、ますます難しくなっています。
故障や経年劣化といった従来の設備機器の異常に加え、本コラムの主題であるセキュリティに関する問題、あるいは人的ミスやエラー、システムの高負荷など、大規模障害を引き起こす要因は多岐にわたります。果たして、このような事態に陥らないためにできることはあるのでしょうか?
その1つの答えが「学び」です。そのようなきっかけを与えてくれる頼もしい「仲間」がいます。それこそが、情報処理推進機構、通称「IPA」です。
» 脆弱性はなくならない、事故発生を前提とした対策があなたの工場を脅威から守る
» 工場セキュリティ対策の考え方と現実的なソリューション導入の手引き
» 製造業が狙われる日も近い、制御情報系システムをITセキュリティの力で死守せよ
今回取り上げたいのは、2018年3月に更新されたばかりの「情報処理システム高信頼化教訓集」です。
この教訓集は、[ITサービス編]と[組込みシステム編]の2つに分けてまとめられており、トヨタ自動車、日産自動車、NEC、日立製作所、三菱電機をはじめとする日本の名だたる企業が参画し、各社が経験した「障害情報」を基に、抽象化および普遍化した「再発防止策」を紹介しています。
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