「モノづくりに携わる人」だからこそ、もう無関心ではいられない情報セキュリティ対策。しかし、堅苦しい内容はちょっと苦手……という方に向けて、今日から使えるセキュリティ雑学をお届け! 今回は、スマートホームのセキュリティの話題を通じて、工場セキュリティのチェックポイントについて考察してみたいと思います。
帰宅すると、照明器具のスイッチが自動でオンになり、リビングのドアを開けると室内は既に適温状態。そして「ただいま」の声に反応してTVの電源が入り、オーディオから音楽が流れ出す――。皆さんが、子どものころに夢見た“未来の家”は、このようなイメージではないでしょうか。
これが今や現実のものになろうとしています。GoogleやApple、Amazonが音声認識をベースとしたスマートスピーカーを発表して話題となりましたが、ネットワークにつながるスマート家電の存在はもう珍しいものではありません。“家がスマート化する(スマートホーム)”時代は既に始まっているのです。
しかし、家庭での暮らしが便利になるということは、リスクが増えるとも考えられます。では、今後ますますスマートホーム化が加速していく中で、家庭内のセキュリティはどのように考えたらいいのでしょうか。実はこれ、製造業における「工場のセキュリティ」にとても近いかもしれません。そこで今回は「お家のセキュリティ」を通じて、工場セキュリティのチェックポイントを考察してみたいと思います。
まず、今のお家のセキュリティを考えてみましょう。皆さんの家の玄関ドアには鍵が付いていて、その鍵を開けたり閉めたりすることで、出入りします。基本的に、あなた自身や家族、親しい友人などでなければ中に入れない仕組みになっています。これは工場でも同じです。
では、ITという意味では、「誰が」「何を」守っているでしょうか? ネットワークの観点では、多くの家が「ブロードバンドルーター」を使っているはずです。このブロードバンドルーターは外部からの通信のうち、メールやWebサイトの閲覧に必要な入り口以外は全て閉じられているはずです。このブロードバンドルーターがあるからこそ、ネットにおける脅威を防げるわけです。例えば、2017年5月に猛威をふるったランサムウェア「WannaCry」も、通常のブロードバンドルーターならばWannaCryの通信を通さない設定になっていたため、日本の家庭で感染したという話は(筆者が聞く限り)ありませんでした。この点も工場と一緒で、多くの工場では“外からネットワーク経由で侵入できない”ように、「ファイアウォール」などの機器を導入しているはずです。
これまでであれば、入り口に“高い壁”を築いて、侵入を防ぐことで多くの脅威から身を守ることができました。しかしそれは「スマート」以前のお話です。IoT時代の工場も、少し考え方を変えなければなりません。インターネットにつながる時代に、これまでとどのように異なる対策が求められるのでしょうか?
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いきなり、その答えから見てしまいましょう。
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