車載電装システムの世界市場は、2017年見込みの21兆円超に対し、2025年には35兆円規模となる見通しだ。電動化や自動運転など、地球環境あるいは安全にかかわるシステムの需要が拡大する。
富士キメラ総研は2018年3月15日、車載電装システムの世界市場を調査し、その結果を発表した。電動化や自動運転など、地球環境や安全にかかわる技術の導入が加速し、車載電装システムの需要は今後も堅調に推移する見通しだ。
車載電装システムの世界市場は、2017年に21兆863億円を見込む。内訳はパワートレイン系システムが7兆6129億円、走行安全系システムが4兆7767億円、HV(ハイブリッド車)/PHV(プラグインハイブリッド車)/EV(電気自動車)/FCV(燃料電池車)系システムは1兆9154億円である。
2025年の市場規模は、35兆404億円と予測する。大幅伸長が予測されているHV/PHVシステムやEV/FCVシステムの他、アイドリングストップ/回生システム、ADAS(先進運転支援システム)/自動運転システムなどの品目が、2016年から2025年までの年平均成長率で10%を上回るとみている。
地域別にはEUや北米の市場規模が大きいが、中国などそれ以外の市場も増加している。特に、EVの普及が進む中国では、HV/PHV/EV/FCV系システムの規模が、2018年にも1兆円を超える可能性が高い。
車載電装システムの中で、富士キメラ総研が注目市場として挙げるのが、「ADAS/自動運転システム」と「ドライバーモニタリングシステム」である。
ADAS市場は、2017年に1兆円台となり、2025年には2兆3426億円と予測する。2017年より、部分的な自動化を可能にする「レベル2」システムを搭載する車両が増えた。今後も低価格化や機能向上、知名度アップなどにより、需要が拡大するとみている。
自動運転システムは、条件付きで自動化が可能な「レベル3」システムが2017年より量産車に搭載された。法規制など自動運転に対する課題が解決すれば、2020年以降にも自動運転車の比率が高まる見通しだ。
ドライバーモニタリングシステム市場は、2017年の200億円弱に対し、2025年は1000億円を超えると予測した。車載カメラやセンサーを用いて運転者の居眠りを検知するシステムである。車内への子供放置対策などの用途でも、搭載率が高まるものと思われる。自動運転レベル3の段階では、ドライバーモニタリングの機能は欠かせないという。
この他に、デバイス&コンポーネンツの世界市場も調査した。合計で2017年見込みは8兆6795億円。2025年は16兆4536億円と予測した。このうち、センサーモジュール/アクチュエーター市場は、2017年見込みで4兆7943億円。これに対して2025年は7兆3599億円と予測した。電動化や自動運転に向けたシステムの搭載により、小型モーターやセンサー素子の需要が増加する。
表示/入力系デバイス市場は、2017年見込みの1兆3735億円に対して、2025年は2兆1134億円と予測した。HV/PHV/EV/FCV/環境対策関連デバイス市場は、伸び率も高い。2017年見込みは2兆5116億円。これに対して2025年は、6兆9803億円と予測した。二次電池やモーター、モータージェネレーターなどの搭載が増えるとみている。
富士キメラ総研は、2017年10月〜2018年1月に専門調査員によるヒアリングおよび、関連文献やデータベースを活用して調査・分析を行った。調査は、パワートレイン系、HV/PHV/EV/FCV系、走行安全系、ボディー系、情報通信系の車載電装システム20品目と、情報機器3品目の世界市場を地域別に行った。さらに、これらを構成するデバイス&コンポーネンツ27品目についても市場を調査した。
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