大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
LPWAの急伸、MIPSの落日。IoTの歩みは緩やかに(2/2 ページ)
IoT(Internet of Things)という単語が使われるようになった発端は、南メソジスト大のDaniel Engels教授が1997年にITU向けの記事の中で使い始めてから(単語そのものを生み出したのは、Auto-ID CenterのExecutive DirectorであるKevin Ashton氏らしい)だから、世の中にIoTという言葉が生まれてからもう20年ほどになる。ただそのIoTという言葉がもてはやされるようになったのは、2013年ごろからだろう。
ゆっくり立ち上がるIoT
それ以前はM2Mやユビキタスといった言葉が使われていたわけで、その意味では単語自身も、そして単語が示す一連の概念というかエコシステムも以前からずっと存在しており、ただしマイナーというかそれほど盛り上がっていた訳ではなかった。ただ2013年にまず言葉が先行して普及し、そこから急速に話題だけが先行して盛り上がってきた、というのは知られる通りである。
では今はどうなのか? ちょっと面白い資料がある。Gartner(ガートナー)のHype Cycle(ハイプ・サイクル)は目にしたことがある方も多いと思う。2015年版のHype Cycle for Emerging Technologiesを見ると、Internet of Thingsは絶頂期にあり、ではこのあと幻滅期に入るのかと思いきや、2016年版も2017年版も、Internet of Thingsという言葉そのものが消えてしまった。
要するにもう新興の技術ではない、という認識なのだと思われる。その代わりにGartnerは「Hype Cycle for the Internet of Things」を2016年に発表している。もはやIoTは確たる1分野なのであり、次はその分野の中でどんな技術が今後出てくるかという議論のステージに進んだわけだ。
こちらの最後にもちょっと触れたが、制御なり分析の元となるデータ収集の手段、というある意味一番プリミティブな目的のためのIoTは既に普及段階に入ったと感じたのが2017年の段階で、2018年はこれを使って集めたデータをどう分析するかという話が盛り上がることになるのではないかと思う。
引き続きM&Aは続く
2016年は大型買収が相次いだ。2017年の前半は多少落ち着いたものの、後半になってBroadcomがQualcommを1050億ドルで買収するという案件が出てきたので、額面だけを見ればArmの買収が起きた2016年を上回ることになる(買収が成立すれば、という話ではあるが)。
ただこの件を例外にすると、アナログ系半導体企業が買収される(RenesasによるIntersil買収、ADIによるLinear Technology買収、Dialog SemiconductorによるSilego Technologyなどなど……)ケースが目立つ。ただこれらはいずれも割と幸せ(?)な買収であり、逆にデジタル半導体企業にはキツい年であったといえる。
先に述べたMIPSやImagination Technologies、MACOMに買収された後に別のファンドに売却されてしまったAPMのX-Gene部隊など、幾つかのデジタル半導体企業が厳しい状況に置かれている。
2018年はまだ始まったばかりだからなんとも言えないが、2017年が始まった当初は「2016年はM&Aが盛んだった分、今年は落ち着くだろう」的な観測が多かったのが見事に裏切られた格好であり、筆者の個人的な予測では2018年もまだ続きそうな気がする。
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これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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