京都大学のCenter of Innovation(COI)とパナソニックは、離れたところから高精度に心拍数と心拍間隔を計測できる生体情報センシングセンサーを小型化/高感度化した「非接触ミリ波バイタルセンサー」を共同開発した。2018年度に保育施設などで予定されている実証実験を経て、さまざまなアプリケーションの検討を進めていく。
京都大学のCenter of Innovation(COI)とパナソニックは2017年9月26日、離れたところから高精度に心拍数と心拍間隔を計測できる生体情報センシングセンサーを小型化/高感度化した「非接触ミリ波バイタルセンサー」を共同開発したと発表した。今後は、小型のプロトタイプ機を用いて、2018年度に保育施設などで予定されている実証実験を経て、さまざまなアプリケーションの検討を進めていくとしている。
両者は2016年1月に、パナソニックの高感度なスペクトラム拡散ミリ波レーダー技術と京都大学の特徴点ベースの心拍推定アルゴリズムを組み合わせた生体情報センシング技術を発表している。今回の成果では、センサーシステムの体積を従来比で10分の1という小型化に成功した。また、複数の人物を同時に計測する場合に互いに離れる必要がある距離を7.5cm程度と従来比で8分の1まで縮めたことにより、これまで不可能だった複数の人物の心拍間隔を同時に計測できるようになった。
前回の発表では、帯域幅が500MHzの60GHz帯ミリ波レーダーを使用していたが、今回はさらに広帯域な79GHz帯ミリ波レーダーを採用した。また、ミリ波レーダーの送受信ICをCMOS技術で1チップ化することにより、測定感度の向上と、レーダーシステムの大幅な小型化を同時に実現できたという。
さらに、79GHz帯の広帯域ミリ波レーダーを用いることにより、従来は約60cm間隔でしか捉えられなかった信号を、従来比8分の1となる7.5cm幅と細かく分解できるようになった。その結果、1台のレーダーでノイズが少なく複数人の心拍間隔を同時計測することがを可能になった。
介護施設や保育施設などでの見守りには、見られていることを意識させないストレスフリーなセンサーが必要になるといわれている。小型化と高感度化を実現した非接触ミリ波バイタルセンサーは、天井や機器などにセンサーを埋め込んで、見守られている人々がストレスを感じない「カジュアルな生体情報センシング」が可能になる。
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