NEDO/慶應義塾大学 General Purpose Arm
腐ったミカンもつぶさずにつかめる「リアルハプティクス技術」搭載双腕ロボット(2/4 ページ)
物体の柔らかさまで感じられるため、General Purpose Armでは、人間に近い作業が可能。記者会見のデモンストレーション(以下、デモ)では、へこみやすいプラスチック製コップを持ち、そこにペットボトルから水を注いでも、落とさずにしっかり持てるところが紹介された。
General Purpose Armの将来の応用先としては、さまざまな用途が考えられる。放射線環境や高所といった危険な場所での作業も、これならば安全な場所から遠隔操作できる。また生産ラインでの活用も可能だという。この場合、マスター側は設置せずに、人間の作業を覚えさせたスレーブ側だけを工場内に設置するイメージとなる。
リアルハプティクス技術とは?
従来の「ハプティクス(haptics=触覚)技術」では、デバイスの振動などによって、疑似的に触覚を伝達する手法が多かった。これに対し、リアルハプティクス技術は、物体の硬さや柔らかさなどの触覚をありのままに伝えることができる。まさに、リアルなハプティクスであるわけだ。
「触覚を伝える」――。言葉にすると簡単そうだが、実はこれが非常に難しい。
マスター側のロボットアームを動かしたとき、スレーブ側ではその位置を正確に再現する必要がある。またスレーブ側のロボットアームが物体に接触したときは、物体から受ける反力をマスター側で再現しなければならない。
このように、物体の硬さや柔らかさを伝えるためには、「位置の追従」と「力の伝達」が欠かせない。しかし、「位置制御は硬い制御であるのに対し、力制御は柔らかい制御。硬くて柔らかいことを同時に行おうとすると矛盾が生じる。これまではこの矛盾が壁となり、触覚の伝送を実現できなかった」(野崎助教)という。
この矛盾を解決するために考案されたのが「加速度規範双方向制御方式」である。例えばモーターで考えると、回転運動の位置は角度θだ。物体に触れるとトルクτがかかり、回りにくくなる。θとτは異なる単位だが、加速度規範双方向制御方式では両者を加速度次元で統合することで、この矛盾を解決しているという。
厳密にいえば、位置制御と力制御を同時に行うことは原理的に不可能だ。しかし、リアルハプティクス技術では、人間が気付かないくらいわずかな時間(1万分の数秒程度)だけずらしているので、違和感を覚えることはないという。「そこに気が付けば簡単に実現できる。コロンブスの卵のようなもの」(大西教授)だ。
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