ヘッドマウントディスプレイ(HMD)で、よりリアルな映像を視聴したい――。HMDの画質を改善できる画素隠蔽フィルムを、大日本印刷が開発した。
大日本印刷(DNP)は2017年9月、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)用の画素隠蔽フィルムを開発したと発表した。ブラックマトリックス領域のみを見えにくくすることで、画質を改善する。
HMDを利用したVR(仮想現実)システムは、ゲーム機器をはじめさまざまな用途で注目されている。現行のHMDは内蔵した小型ディスプレイに表示された映像を、単層のマクロレンズなどを用いて均等に拡大し、視聴する仕組みである。
このため、画素自体も拡大されてしまい、映像の鮮明性を損なうという課題があった。その理由は、縦横配列の長さが異なる色領域の場合、均等に拡大するとRGBの間に設けているブラックマトリックスまで見えてしまうか、隣接する色同士が混じり合うという現象が生じるからだ。
そこでDNPは、HMD内に装着するフィルムを新たに開発した。このフィルムを用いると、光の拡散を極めて精密に制御することができる。この技術により、RGBの色領域は拡大されるが、ブラックマトリックス領域は見えにくくなるという。これによって、HMDの画質を改善し、よりリアルな映像を視聴することが可能となった。
新開発のフィルムは、微細加工を行った2層レンズにより3色の色領域のさまざまなパターン配列に対応することが可能で、設計の自由度も高いという。このため、専用ゴーグルだけでなく、スマートフォンなどを装着するHMDにも組み込むことが可能である。
DNPは開発したフィルムの供給は2017年中にも始める。同社は2021年度までに、年間50億円以上の売り上げ規模を目指す計画である。
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