TDKが業界最小サイズの車載Ethernet用コモンモードフィルター「ACT1210Lシリーズ」を発表した。同製品は耐熱性を高めるため、金属端子を採用している。
TDKは2017年6月20日、車載Ethernet用としては業界最小サイズ(同社)というコモンモードフィルター「ACT1210Lシリーズ」のサンプル出荷、量産をともに開始したと発表した。サンプル価格は1個当たり150円。月産数量は30万個の予定だ。
ACT1210Lシリーズの最大の特徴は、外形寸法が3.2×2.5×2.4mmと車載Ethernet用としては超小型であることだ。ACT1210Lシリーズは、車載カメラの小型化や車載機器の冗長設計に対応すべく、TDKの従来品「ACT45Lシリーズ」(4.5×3.2×2.8mm)に比べ、実装面積を43%、体積を55%削減している。
通常、小型化と性能の両立は困難だが、ACT1210LシリーズはTDK独自の構造設計と巻き線工法により、ACT45Lシリーズと同等の低いモード変換特性(Scd21)を確保した。Scd21とは、ディファレンシャルモード成分がコモンモード成分に変わる量のこと。この値がマイナス側に大きいほど、コモンモードノイズの発生が抑制される。
一方、ACT1210Lシリーズは金属端子の採用により、耐熱性を車載用にふさわしい水準に高めた。ACT45Lシリーズでは、コア部材に電極材を焼き付け、その上にメッキ処理を施していたため、使用温度範囲が−40〜105℃だった。対して、ACT1210Lシリーズの使用温度範囲は−40〜125℃。寿命は10年だったのが、30年以上に伸びた。
TDKの小間屋氏によると、金属端子の圧着は難しい技術だ。同氏は、「金属端子はレーザーで接合している。そのため、接合部はリフローで溶けることがない。レーザー接合技術の開発は、約10年前から続けてきた」という。
ACT1210LシリーズはAEC-Q200に準拠。主な仕様は、インダクタンスが200 +30/-10%μH@100kHz、直流抵抗が5.5Ω、定格電流が70mA、定格電圧が80Vだ。
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