Marvell 88Q5050
自動運転車で「成り済まし」の危険性、セキュアな車載GbEスイッチが必要な理由
ファブレス半導体ベンダーのMarvellが、車載向けのセキュアギガビットイーサネット(GbE)スイッチを発表した。ADASや自動運転の普及に備えた、次世代車載ネットワークの普及をにらむ。
車載ネットワークとしてはCANやLINなどが以前より使われており、長年の積み重ねから高い信頼性と多くの採用を獲得している。しかし、カメラやセンサーを多数搭載することから膨大なデータが発生するADASや車外ネットワークとの接続を考慮すると、より広い帯域幅を持つ次世代車載ネットワークを検討すべきという声も挙がっている。
ファブレス半導体ベンダーのMarvellは2017年7月24日(米国時間)、車載向けのセキュアギガビットイーサネット(GbE)スイッチSoC「88Q5050」を発表した。車載イーサネットを流れるパケットをリアルタイムでフィルタリングする「Deep Packet Inspection」などを備え、自動運転やコネクティッドカーなどで重要性を増す車載セキュリティを高める製品として訴求する。
「中間者攻撃がクルマに向けて行われてもおかしくない」
Marvellは2015年に「世界初」(同社)となる1Gbpsの車載イーサネット対応トランシーバーIC「88Q2112」を発表するなど車載イーサネットに積極的な姿勢を見せており、新製品のスイッチはその姿勢を踏襲するものとなる。
「なぜ膨大なデータに対応できる製品が車載向けに必要なのか。自動運転車は毎日4TBのデータを生むといわれるほどであり、データが発生する以上、危険に備えなくてはならない。そのためにセキュアなGbEスイッチが必要となる。88Q5050は100BASE-T1/1000BASE-T1をサポートするポートフォリオであり、車載に求められる即時性、レイテンシの低さ、高速転送、コスト効率のよいケーブリングのいずれも提供する」(米Marvell Donna Yasay氏)
その88Q5050はARM Cortex-M7(250MHz駆動)を中核にパケットフィルタリング(Deep Packet Inspection)、キューコントローラーなどを統合しており、IEEE 802.3およびIEEE 802.1に準拠する。100Mbpsと1Gbpsのインタフェースをサポートしており内部的には100Mbps接続であるが、88Q2112など接続することで1000BASE-T1スイッチとして機能する。
最大の特徴であるDeep Packet Inspectionはハードウェアでのフィルタリングを提供するもので、ハードウェア実装であるために全てのポートをリアルタイムでフィルタリングする処理能力を持つ。パケットのIPヘッダだけではなく、最大96バイトまでをフィルタリングでき、また、ホワイトリスト/ブラックリストいずれのフィルタリングも可能だ。車両搭載後であっても、アップデートにてリスト方式の切り替えやリスト内容の更新にも対応する。このアップデート対応はサプライヤーからの要望で実装したという。
SoC自体の堅牢性を高めるために、セキュアブート機能も実装している。内容としてはARMのCPUなどが備えるセキュアブートに近く、起動時に外付けのメモリから呼び出すドライバが正しいかを確認してから起動する。この他にも検出ログの保存機能を備え、AEC-Q100グレード2認定基準にも準拠する。
「自動運転車では膨大なデータが発生するため、大量のデータを扱うに適するイーサネットは徐々に採用されており、これからも増えるはずだ。しかし、その一方で車載情報機器の脆弱性が原因でクライスラー(現FCAUS)が対象車種をリコールするなど、車載製品のセキュリティは高めなくてはならない現状として存在する」
マーベルジャパンの倉臼あんどりゅ氏は、大量のデータが車内を巡る以上イーサネットの活用が求められ、それはPCやサーバと同様に守らなくてはならない存在になることを意味すると指摘する。「クルマにとってIPネットワークが当たり前になると、防御も考えなくてはならない。中間者攻撃、成り済まし、DDoS、スキミングなどがクルマに向けて行われてもおかしくない」(倉臼氏)
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