「デジタル化」とは何か? デジタル化が産業社会にもたらす変化と価値について、全4回で解説する。第4回では、「ビッグデータ」「データアナリティクス」「人工知能(AI)」が製造業に与えるインパクトにフォーカスし、欧州の鉄道システムや自動運転車に代表される自律システムを例に掘り下げていく。
連載「産業社会におけるデジタル化の価値」では、IoT(Internet of Things)に代表される近年話題のテクノロジーの中核を担う、「デジタル技術(デジタル化)」が産業社会に何をもたらすのか? その価値について解説してきました。
前回は、デジタル化の流れの“受け皿”となる産業用ネットワーク/インダストリアルIoTと、それに関連したセキュリティの話題を取り上げました。最終回となる今回は、「ビッグデータ」「データアナリティクス」「人工知能(AI:Artificial Intelligence)」が製造業に与えるインパクトについて紹介します。
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これまで解説してきた通り、製造業の組織を考えた場合、人間の力のみで生産現場で発生している全ての事象を的確に捉え、それらを総合して判断し、適切に行動することはほぼ不可能といえます。
例えば、工場の生産ライン全体は、作り出される製品そのものよりもはるかに複雑な設備群により構成されています。そのため、日々稼働する生産ラインを人間の知覚のみで捉えることは不可能で、量、種類、時間の観点からも限界があります。仮に人間の知覚が発達し、数十倍もの情報を収集できるようになったとしても、情報の量が多過ぎるため、そこから有効な知見や洞察を得ることは難しいでしょう。
そこで頼りになるのがテクノロジーです。以下、「認識」「伝達」「判断」にブレークスルーを促す技術要素を3つ紹介します。
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