「IIoT(Industrial IoT)」を実現させ、新たなモノづくりを創造するためには、現状の工場の仕組みを大きく見直す必要がある。今回は、生産設備とITの融合によって起きる生産設備の「保守・管理」の劇的な変化と、生産設備に対する考え方のパラダイムシフトについて取り上げる。
前々回は、コントローラー、アクチュエーター、センサーを接続するフィールドバスが標準化されていないため、1社のメーカーに全ての機器を依存する日本の現状を解説した。そして前回は、生産設備の制御をつかさどるPLCのプログラミング部分で「ラダー言語」に大きく依存している日本の実情を解説し、既に標準規格へ移行し大きく進んでいる海外勢との差について確認した。これらの内容はいずれも、「IIoT(Industrial IoT)」を実現させて新たなモノづくりを創造することを目的に執筆したもので、そのためには「まず現状の工場の仕組みを大きく見直す必要がある」というものであった。
今回は、生産設備とITの融合によって起きる生産設備の「保守・管理」の劇的な効率向上と、そのために求められるわれわれの生産設備に対する考え方のパラダイムシフトについて解説する。
連載第1回で解説したように、予兆保全やマスカスタマイゼーションといった、IIoTによる新しいサービスばかりが脚光を浴びているが、それらの手前にもっとIIoTを採用することによって得られる現実的なメリットがある。それが保守・管理の効率化だ。生産設備のシステムは、ますます複雑で大規模なシステムになっていて、運用・保守にも大きなコストを必要としている。保守・管理を効率化し、新しいイノベーションにリソースを投入できるようにしなければ、第1回で解説したようなさらに大きな効果を生むIIoTの実現は果たせない。
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