明電舎は産業用の高速フィールドネットワーク(EtherCAT)を活用した中小水力発電用の制御保護システムの新製品を開発した。中部電力と共同開発を進めてきたもので、従来より大幅な小型化を図ったのが特徴だ。これにより既設を稼働させたまま新盤据付工事が行えるなどのメリットがあるという。
明電舎は2016年12月26日、2014年から中部電力と共同開発を進めていた産業用の高速フィールドネットワーク(EtherCAT)を活用した中小水力発電用の制御保護システムの技術開発を完了したと発表した。従来機である全機能一体形制御保護装置と比較し、省配線・小形化を図った。既に2016年に中部電力向けに初号機を納入し、同年12月から全国向けに販売を開始している(図1)。
従来は既設盤や既設ケーブルを撤去してからでなければ新盤据付工事ができなかったが、省配線・小形化によって、空きスペースへの設置を可能にした。従来比でシステムの体積・質量は80%削減しており、クレーンなどを使わず、2人の作業員で運搬できるという。新設時の建築面積を小さくでき、山奥にある水力発電所にも導入しやすくした。
こうした小型化のメリットにより、既設を稼働させたまま新盤据付工事が行える他、既設盤の撤去も発電再開後に行うことができるため、溢水電力量を削減できる。また、制御信号ケーブルの一部を産業用LANケーブルにすることにより、ケーブル配線作業を従来比で50%削減し、工期短縮を実現できるという(図2)。
この他、新たにシステム異常時に水車・発電機を安全に停止させる「緊急停止装置」も搭載した。また、EtherCATの冗長化システムの構築により、通信ケーブル断線時のループバックを可能にしている。さらにタブレット端末にも対応し、メンテナンス作業の効率も図れるという(図3)。
近年、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の施行により、全国で水力発電事業の新規・更新案件が多く予定されている。明電舎ではこうした背景から制御保護システムの需要増を見込む。
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