矢野経済研究所 次世代型モニタリング 調査
状態基準保全を実現するIoT活用の「次世代型モニタリング」が普及の段階へ
クラウドやビッグデータ、AIなどIoT関連技術を活用した遠隔監視ソリューションは既にテスト段階から普及段階へ進みつつある――。矢野経済研究所調べ。
矢野経済研究所は2016年12月12日、「次世代型モニタリング」(IoT関連技術を用いた遠隔監視ソリューション)に関する調査結果を発表した。
この「次世代型モニタリング」は、調査にあたって「ITベンダーから提供される、クラウドやビッグデータ、AIなどを活用した遠隔監視ソリューション」と定義されており、自社開発システム(オンプレミス)と機器および設備メーカーが機材に付帯する形で提供する遠隔監視ソリューションは含まない。
調査結果によれば次世代型モニタリングは生産現場や河川や道路といった社会インフラにおいて実証実験や試験導入が始まっており、2020年頃には製造業であれば組み立て工程などの設備監視、社会インフラ領域においては河川モニタリングや土砂災害防止など人命に関わる領域から導入が始まると予測する。
2020年には「製造業の大半で導入済み」か
これまでも「遠隔監視ソリューション」は存在しているが、あくまでもシンプルな「遠隔地の監視」にとどまっており、遠隔地の状態をカメラなどのセンサーで把握して分析し、故障予知や予防保全に活用するという動きはここ数年、顕著になったものだ。調査報告書の中ではシーイーシー「Facteye」、TIS「メンテりてぃくす」、日立システムズ「Facility Monitoring Service」、安川情報システム「MMCloud」などが次世代型モニタリングに相当するとしている。
この次世代型モニタリングについて矢野経済研究所では、2020年ごろまでは組み立て製造業やロボット導入工場、大型プラントなどを有する大手企業が導入を主導し、2020年を過ぎる頃には年商500~2000億円程度の中堅企業が普及の中心になると予測する。また、2030年頃にはほぼ全ての製造機器と製造設備にて標準的な装備となり活用されるとも予測している。
製造業での普及が急速に普及する要因として矢野経済研究所では、時間を基準とする時間基準保全(TBM)から状態基準保全(CBM)への移行というより細やかな設備保全への要求が高まっていること、さらにはAI技術を用いた故障予知と予防保全への期待を挙げている。
社会インフラへの導入に関してはまずは人命に直結する防災関連(冠水や河川監視など)から導入が始まり、高度経済成長期に整備普及されたインフラの保全対策が大きな課題となっていることから、2020年以降の時期では高速道路や鉄道などインフラ構造物への導入が進むと予測する。
また、「製造現場」と「社会インフラ」に加え、調査報告書がもう1つ、次世代型モニタリング導入が進む可能性が高いとしている領域がある。作業員や運転手などの健康状態をチェックする「ヘルスケアモモニタリング」だ。
現場作業員に対するヘルスケアモニタリングは2016年現在で既に建設業を中心に実証実験が始まっており、健康経営や医療経営というコンセプトの一般化とあわせて普及が進むとする。その結果、2020年頃までには大手ゼネコンの建設現場作業員、長距離ドライバーなどの健康管理に次世代型モニタリングが活用されるようになり、2030年頃には現在の健康診断や産業医配置、ストレスチェック義務化のように従業員の健康管理に対して、次世代型モニタリングが半ば標準的な存在になる可能性もあるとしている。
調査資料「動き出す次世代型モニタリングの現状と展望~ユーザアンケートから見る現場データの取得・活用実態~」の調査は2016年8月~11月にかけて、ITベンダーおよびユーザー企業(地方自治体、公共団体、各種製造業、建設業など)へ電話調査を主体として行われた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
市場動向(製造IT)
製造業向けITツール/サービスに関する市場動向、実態調査、セキュリティインシデントなど、製造業におけるIT活用の“今”をお届けします。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] 脱炭素投資をすぐ回収したい 自動車業界にも有効なCO2削減アプローチ -
製品資料
[株式会社 Green AI] 自動車業界の脱炭素はなぜ進まない? 実務で直面する“壁”の乗り越え方 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:製造現場にフィジカルAIをどう実装するか――電子版2026年9月号
-
2
計測器アプリケーションにおいて7.5桁の精度を実現する方法
-
3
半導体装置メーカー 業績まとめ【2027年3月期第1四半期】
-
4
ものづくり白書2026を読み解く
-
5
いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向
-
6
Waymoの自動運転技術に迫る
-
7
OTセキュリティ実態調査2026
-
8
機械・電気設計の連携はなぜうまくいかない? 手戻りを防ぐ協調設計の進め方
-
9
AI×設計開発ニュースまとめ(2026年5~6月)
-
10
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:フィジカルAIが生み出す新たな「設計思想」――電子版2026年8月号
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー