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3D距離計測スキャナーの開発が容易に、リンクスからToF式CCDセンサーエスプロス ToF式CCDセンサー

技術商社のリンクスは、ToF(Time of Flight)式CCDセンサーの開発製造を手掛けるスイスのEspros Photonics(エスプロス)と日本国内における総代理店契約を締結。2016年11月15日から国内販売を始める。市場の急拡大が見込まれる3次元距離計測スキャナーを容易に開発できるという。

» 2016年11月02日 12時00分 公開
エスプロスのToF式CCDセンサーを用いたToF式スキャナー エスプロスのToF式CCDセンサーを用いたToF式スキャナー

 技術商社のリンクスは2016年10月6日、東京都内で会見を開き、ToF(Time of Flight)式CCDセンサーの開発製造を手掛けるスイスのEspros Photonics(エスプロス)と日本国内における総代理店契約を締結したと発表した。同年11月15日から、エスプロスのToF式CCDセンサーの国内販売を始める。当面の年間売上高目標は10億円。

 リンクスは、MVTec Softwareの画像処理ソフトウェア「HALCON」や、Baslerの工業用デジタルカメラなど、工業用画像処理分野の最先端製品を国内展開する技術商社として広く知られている。同社代表取締役の村上慶氏は「世界をリーディングするハイテク製品を国内向けに独占販売する方針で事業を展開してきた。工業用画像処理分野で築いた圧倒的ポジションを他の分野にも広げるべく、新たな商品を投入していきたい」と語る。

 今回発表したエスプロスのToF式CCDセンサーは、工業用画像処理で培った技術と経験を基に、近年市場が拡大しつつある「エンベッデド・ビジョン」市場へ進出するための新たな商材となる。村上氏は「工業用画像処理の市場は年間1000億円程度。これを小さな川とすると、さまざまな機器分野で利用が広がるエンベッデド・ビジョン市場ははるかに大きな大河だ。急成長するエンベッデド・ビジョンの技術が工業用画像処理分野に流入してくる可能性は危機でもあるが、われわれがエンベッデド・ビジョンに進出する良い機会にもなる」と意気込む。

 エスプロスのToF式CCDセンサーをはじめ、光源からの光を対象物に当てて戻ってくる反射光を受光するまでの時間を計測して距離情報を算出するToF式スキャナーは、3次元距離計測スキャナーを容易に開発できることから市場の急拡大が見込まれている。テクノ・システム・リサーチの調査によれば、2016年時点で世界市場規模は金額で1426億円、台数で192万台だが、2025年には金額で6478億円、台数で4168万台まで拡大する見込みだ。

 ToF式スキャナーが既に一定数採用されているのは、自動ドアやエレベータードアの開閉用途だ。「乗ろうとしたエレベーターのドアが目の前で閉まることがある。ToF式スキャナーのセンシング機能を搭載すれば、エレベーターに乗ろうとしている人や前を横切るだけの人を見分けて開閉の制御ができる」(村上氏)という。

 ToF式スキャナーの市場は、ドア開閉用途などの固定型に加えて、自動車、走行型ロボット、ドローンなどに広がっていく。これらの拡大する市場に置いて、エスプロスのToF式CCDセンサーは高い商品力を有しているとして、今回の国内独占販売契約に至った。

 最大の特徴は、真夏の昼間レベルの明るさである10万ルクス(lx)クラスの外光のある環境下でもしっかりとセンシングできる点だ。エスプロスは2006年創業の新興企業だが、数十億円規模の投資により、ToF式CCDセンサーの設計だけでなく、自社の製造ラインを用いた生産も行っている。村上氏は「ToF式スキャナーでは外光による受光素子の飽和が課題になる。エスプロスは、製造プロセスまでカバーしているので、10万ルクスの外光下にも対応できる」と強調する。

 ToF式CCDセンサーの画素数は1×1、8×8、160×160、320×240の4種類。撮像テストをすぐに行える評価キットも用意している。光源は波長860nmの近赤外光を用いる。


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