大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
Arm再売却の予想と、Intel TMGの行方(2/4 ページ)
それもあって先の記事にも書いた通り、ISGのSoftBankグループへの移管により経費の付け替えを行い、調整EBITDAを引き上げるつもりだろうと書いたわけだ。ArmというかSoftBankはArm内部のグループ別売り上げとか経費詳細を公開していないので、もう推察するしかないのだが、ラフに言えば2016~2017年で売上は約1.5億ポンド増え、その一方で経費は4億ポンド増えている。差し引き2.5億ポンド分の経費が、トレジャーデータその他の買収に伴う分ということになる。この中にはのれん代の償却なども含まれているだろうから、全部が全部経費という訳ではないにしても、このあたりを付け替えができればArmの財務状況は相当改善することになる。仮に2.5億ポンド調整EBITDAに上乗せできれば、売却金額は135億ポンド、1兆9000億円弱。もう少し頑張って2016年と同じ7.5億ポンド程度まで引き上げできれば225億ポンド、3兆1000億円強になる。ここまで行けば万々歳だが、もう少し手前、SoftBankの赤字を埋めて若干お釣りがくる5億ポンド程度を調整EBITDAのターゲットにしているのではないかというのが筆者の推定である。投資効率としては褒められたものではないかもしれないが、背に腹は代えられないだろう。
問題はこれをNVIDIAが買うか? である。筆者は買わないだろうと踏んでいる。確かに今のNVIDIAの時価総額なら、2兆円程度の会社は買えるだろう。ただ、「買ってどうする?」というのが問題で、NVIDIAのように半導体を売る会社とArmの「IPを売るビジネス」は基本的に相入れない。加えて言えば、IPを売る以上は中立性が求められる(NVIDIAは控えめに言っても中立性に興味があるとは思えない)し、製品ラインアップがかぶる(Tegra系列とMali GPUは完全にぶつかっている)。ロングテールで売れるというのがArmのビジネスの強みだが、NVIDIAはもっと短い周期でのビジネスを行っている、などなど。
そんな訳で筆者は、恐らく再びIPOをすることになるだろう、と予測している。もちろんこの場合にも株価を高く取るためには調整EBITDAを高くすることは必須であり、その意味ではSoftBankというかArmのやるべき事そのものには大して違いはないだろうと思うが。
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