企業動向を振り返る 2018年4月版
AI時代の到来は「Armの一強」を揺るがすか
Armといえば組み込みシステムにおける「一強」とも呼べる存在ですが、モバイル機器や産業機器などにおけるAI実行が一般化する時代において、その地位は揺らぐのかもしれません。
ArmといえばCPU IP「Cortexシリーズ」がスマートフォンから車載機器、産業機器まで幅広く使わており、組み込みシステムにおいて高いシェアを持つ立場にあります。数年前まではMPISやARC International、Tensilicaといったライバルも存在しましたがArmに匹敵するランアップとサポートを提供するには至らず、Armの一強(やや大げさかもしれませんが)ともいえる現在の隆盛につながっています。
そのArmは2016年7月、ソフトバンクに買収されています。そして2017年12月には、Armを買収したソフトバンクの副社長である今井康之氏(現、代表取締役 副社長執行役員 兼 最高執行責任者)が同社事業戦略におけるArmの役割について説明しています(Arm買収から1年半、明確になったソフトバンクのIoT戦略)。
今井氏は「2035年までに1兆個のチップを供給する」という孫正義氏の発言を紹介しながら、「ソフトウェア商社から通信と移り変わってきたソフトバンクの軸足は、現在、AIとロボット、そしてIoTに向かっている」と事業転換期において半導体IPの企業を持つことが重要であるとしました。
そのAI(現時点においてAI=ディープラーニングと考えてよいでしょう)ですが、エンドデバイス側にもなんらかのAI機能を持たせようという機運が高まっています。AIの実行にはデータの取得と処理、それに反映というプロセスを経ますが、データの量は相当な量になります。そこでデータをサーバやゲートウェイだけで処理するのではなく、エンド側でも処理させるというのは理にかなった考え方です。
そこで各社は「AIチップ」の開発に血道を上げることになります。
NVIDIAやCEVA、それにSynopsys、Cadence傘下のTensilicaを始め、XilinxとIntel PSG(Altera)に代表されるFPGAベンダーもディープラーニングの実行に適した組み込み向け推論エンジンのソリューションを発表しています。ですが、組み込みシステムで高いシェアを持つArmは、ややその流れからやや取り残されていました。
米国の市場調査会社であるThe Linley GroupのアナリストLinley Gwennap氏は、2018年4月に行われた同社の年次イベント「Linley Processor Conference」にて、「ArmはCPUだけでなくGPU市場でも優勢を確保してきたが、AIエンジンは、CPUコアベンダーにとって全く新しい市場となっているため、Arm以外のメーカー各社が有利なスタートを切っている状況にある」と、現時点ではArmが必ずしも今までのような優位性を確保できていないと指摘しました。
Armは2018年2月にAIに関する取り組みとして「Project Trillium」を発表(エンドデバイスに機械学習と物体検知を、Armが新IPを提供)、キャッチアップに努めていますが、「AIチップ」に関してはその利用先も評価方法も定まっていないため、「組み込みシステムむけCPU IPといえばArm」のような存在はまだ現れていません。さらにいえば「AI時代」においてはエコシステムやアプリケーションの存在がより重要になるため、チップ単体の処理性は重視されない可能性もあります。
いずれにしてもエンドデイバス側でのAI実行が広く用いられるまでにはまだ時間があり、エレクトロニクス各社はそれに備えているのが2018年春の現状と言えましょう。オープンソース命令セットとして注目されているRISC-V陣営の動きも注目であり、「AIチップの覇者」がどの企業の枕ことばになるのか、まだまだ動向から目が離せません。
エレクトロニクス関連企業動向 主要ニュース
2018年4月の企業動向(エレクトロニクス分野)
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[Armの独壇場にはならない? AI向けコア市場](http://eetimes.jp/ee/articles/1804/16/news022.html)・
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[それでも自動運転開発は続けるべき、NVIDIA CEO](http://eetimes.jp/ee/articles/1804/03/news074.html)・
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[中国への警戒を強める米国、半導体産業を保護する動き](http://eetimes.jp/ee/articles/1804/02/news071.html)・
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[中国、海外半導体企業の“買いあさり作戦”を変更?](http://eetimes.jp/ee/articles/1804/05/news080.html)・
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[出光、有機EL材料事業の新会社を中国に設立](http://eetimes.jp/ee/articles/1804/16/news032.html)・
Armの独壇場にはならない? AI向けコア市場
プロセッサコア市場では現在、クライアント上で機械学習を行うことを想定した十数種類の製品が、SoCへの搭載をめぐって競争を繰り広げている。スマートフォン向けに設計されている製品も既にある。Armが新製品の発表を間近に控えていることから、さまざまな企業が、いち早く市場に投入することを狙っている(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2018年4月16日掲載)
それでも自動運転開発は続けるべき、NVIDIA CEO
NVIDIAのCEO(最高経営責任者)であるJensen Huang氏は年次イベント「GTC 2018」で、Uberや中国、仮想通貨などに関する質問に応じた。Huang氏もほとんどのCEOと同様、同社のAI(人工知能)に関する取り組みといったトピックを回答に取り混ぜながら、前向きな姿勢を示した(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2018年4月3日掲載)
中国への警戒を強める米国、半導体産業を保護する動き
米トランプ政権は、中国の不当な通商政策に対抗するための一連の措置の概要を明らかにした。その一環として、同政権は最大600億米ドル相当の中国製品に対する関税を課すことを目指す大統領覚書に署名した(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2018年4月2日掲載)
中国、海外半導体企業の“買いあさり作戦”を変更?
世界半導体業界の“M&Aラッシュ”からはじき出された中国は、その代わりに活気のあるエコシステムを独自に構築することを目指し始めた。全てを自国で行えるほど大きい規模の市場があると自負しており、主要な半導体製造国になろうと果敢に挑んでいるようだ(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2018年4月5日掲載)
出光、有機EL材料事業の新会社を中国に設立
出光興産は2018年4月12日、有機EL材料事業に関する新会社を2018年度第1四半期に中国で設立すると発表した。今後成長が予想される中国市場をにらみ、生産拠点を構築する狙いだ(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2018年4月16日掲載)
2017年の世界半導体製造装置市場、過去最高を更新
SEMIは2018年4月5日(米国時間)、半導体製造装置(新品)の2017年世界総販売額に関する統計を発表した。2017年世界総販売額は、2016年の412億4000万米ドルから37%増となる566億2000万米ドルに達し、過去最高を更新した(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2018年4月11日掲載)
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