企業動向を振り返る 2018年3月版
不可分になった半導体産業と国際政治
2018年3月のエレクトロニクス業界に起こった出来事のうち、最も多きなものの1つが、米大統領令によるBroadcomのQualcomm買収断念でしょう。これは半導体産業と国際政治が不可分なものになっていることを象徴する出来事として、記憶されることになりそうです。
2018年3月のエレクトロニクス業界に起こった出来事のうち、最も多きなものの1つが、米大統領令発令によるBroadcomのQualcomm買収断念でしょう。そこに至るまでの経緯は大原雄介氏が連載(収束しない現代的CPUの脆弱性と、苦境を脱せないQualcomm)にて時系列でまとめてくれたので詳細はこちらをご覧頂きたいのですが、半導体産業というグローバルな巨大ビジネスは既に政治の領域と、不可分に結び付いていることをあらためて眼前に突きつけました。
Qualcommが2016年10月にNXP Semiconductorsの買収を発表した際、その完了は2017年11月が予定されていました。ですが、関係各国省庁との調整は引き、加えて、2018年4月の段階でも中国当局との調整は終わらず買収は完了していません。また、トランプ大統領は2018年3月22日(現地時間)に中国の技術政策と慣行に対する調査結果と一連の対応措置を発表しています。その措置には中国企業による米国企業への投資制限、技術供与に関する中国の慣例についてWTOへ提訴することなどが含まれています。
一方で中国は国策として国内半導体業界の強化を掲げており、その意欲の旺盛さは半導体製造装置統計を公表しているSEMIの資料などからも明らかです。中国の半導体業界強化は製造装置の需要増や市場そのもの活性化という側面もあるため、他国企業にとって喜ばしいことでもありますが、知的財産保護意識の低さや技術盗用疑惑などを指摘する声も絶えません。ホワイトハウスも過去に発表した報告書の中で、「半導体市場の世界的なリーダーを目指す中国の野望が、米国の半導体産業にとって脅威となる」と強い口調で非難しています(EE Times Japan:半導体市場における中国の脅威、米政府が報告)。
半導体産業という巨大なビジネスは既に1国に収まっていることの方が珍しくなっています。ヘッドクオーターこそは欧米に構える企業がほとんどですが、研究開発や製造ましてや販売までも視野に入れれば、グローバルの展開をしていない企業は皆無です(Broadcomも登記上の本社をシンガポールから米国内に移す計画を進めています)。ですが、中国の経済発展やイギリスのEU離脱、中東情勢など政治面から見れば周囲との緊張を抱えるエリアは多く、その緊張が半導体産業に影響を及ぼさないとは言いきれません。
ただ、BroadcomによるQualcomm買収に関していえば、大統領令は「国家安全保障上の理由から」となっていますが、エレクトロニクス業界の観測筋からは「RF市場における寡占成立を恐れた」という意見も挙がっています(EE Times Japan:BroadcomによるQualcomm買収、業界が恐れた理由は)。大統領令によるBroadcomへの買収中止命令は、「半導体産業と政治」が切り離して語れないほど絡み合っていることを雄弁に語る出来事として、記憶されていくことになりそうです。
エレクトロニクス関連企業動向 主要ニュース
2018年3月の企業動向(エレクトロニクス分野)
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[BroadcomによるQualcomm買収、業界が恐れた理由は](http://eetimes.jp/ee/articles/1803/20/news032.html)・
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[Uber車の死亡事故、センサーは機能していたのか?](http://eetimes.jp/ee/articles/1803/29/news065.html)・
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[有機的成長を図るST、2018年日本市場で2桁成長へ](http://eetimes.jp/ee/articles/1803/12/news025.html)・
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[MediaTek、ASICビジネスへの回帰を表明](http://eetimes.jp/ee/articles/1803/01/news026.html)・
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[AI性能20倍、Xilinxが7nm世代製品「ACAP」発表](http://eetimes.jp/ee/articles/1803/20/news069.html)・
BroadcomによるQualcomm買収、業界が恐れた理由は
BroadcomがQualcommに仕掛けた敵対的買収は、「国家安全保障に対する脅威」という理由で発令された大統領令によって阻止された。この理由の是非はともかく、半導体業界では両社の合併に対して懸念の声があちこちで聞かれたのも事実だった(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2018年3月20日掲載)
Uber車の死亡事故、センサーは機能していたのか?
Uberの自動運転車が起こした、歩行者の死亡事故。地元警察が公開した映像を見ると、高性能なはずのセンサー類が、歩行者をどの程度検知できていたのか、大いなる疑問が残る(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2018年3月29日掲載)
有機的成長を図るST、2018年日本市場で2桁成長へ
STMicroelectronicsは2018年3月、CEOのCarlo Bozotti氏と、次期社長兼CEOのJean-Marc Chery氏が出席した会見で成長戦略などを説明した。「STの歴史上、最高の成長を果たすことができた」という自己評価の次は(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2018年2月1日掲載)
MediaTek、ASICビジネスへの回帰を表明
MediaTekのプレジデントであるJoe Chen氏が「高性能ASIC設計サービスを提供していく予定だ」とASICビジネスで成長を図っていく考えを示した(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2018年3月1日掲載)
AI性能20倍、Xilinxが7nm世代製品「ACAP」発表
Xilinxは2018年3月19日(米国時間)、7nmプロセスを用いる新たな製品群「ACAP」(エーキャップ)を発表した。新たなプログラマブル演算エンジンなどを搭載し、現行のFPGA製品よりも20倍高いAI(人工知能)演算性能を発揮するという。
(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2018年3月20日掲載)
Intel、ドローン事業を間もなく日本でも開始
商用ドローン事業に力を入れるIntel。日本でも間もなく、商用ドローンの事業の展開を開始する。日本のドローン市場について、2018年には8億4000万ドル、2022年は20億ドルを超える規模になると予測しており、太陽光パネルや農作物の検査といった需要にドローンを投入する考え(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2018年3月26日掲載)
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