企業動向を振り返る 2018年2月版
クアルコムを巡る半導体ソープオペラの幕は下りる? 拍手は聞こえるか?
モバイル技術の見本市「Mobile World Congress」が2018年も開催され、各社から製品や技術が紹介されました。ですが、スマホ向けSoCで大きなシェアを持ち、モバイル市場の主役の一人である、Qualcommの周辺は落ち着く気配を見せていません。NXPとBroadcomが共に踊る「半導体ソープオペラ」の幕はいつ下りるのでしょうか。
世界最大規模となるモバイル技術の見本市「Mobile World Congress」(MWC)が、スペインのバルセロナで行われました(開催は現地2018年3月1日まで)。通信関連の各社がどのような戦略、製品を打ち出したのか、ここでは紹介しませんが、MWCの主役の1社であるQualcommを巡るM&Aの動きは混沌としており着地点が見えません。
この舞台に立っているメインキャストはQualcomm、NXP SemiconductorsそしてBroadcomの3人(社)。脇を固めるのはEUや中国の規制当局に、各社の株主と言ったところでしょう。まずは時系列に沿って整理します(本稿執筆は2018年2月26日)。
2016年10月 QualcommがNXP買収を表明
QualcommがNXPの買収を正式発表したのは2016年10月のこと。年間売上高が300億米ドルを超える巨大半導体企業の誕生が高らかにうたわれたものの、その事業規模の大きさと展開地域の広さから買収にはそれなりに時間が必要としていました。当初は買収完了を2017年中としていましたが、2017年11月、「規制当局との手続き」を理由に買収完了のタイミングが2018年初頭に修正されました。
2017年11月 Broadcom参戦
そして同じく2017年11月、BroadcomがQualcommを買収する計画を持っていることが明らかになりました。Broadcomは当初、1000億ドルともいえる金額での買収を提示しましたが、Qualcommはこれを拒否。Broadcomは敵対的買収に乗り出します。2018年2月にはBroadcomが提案金額を引き上げを提示しており、提示内容についてBroadcomは「最善かつ最終の提案」としています。
2018年2月 QualcommがNXP買収金額を引き上げる
Broadcomが最終提案をした2018年2月には、以前から進められていたQualcommによるNXP買収も中国当局の承認を待つだけの段階に進んでいました。さらにはQualcommはNXPの買収額を440億ドルへと引き上げており、これはBroadcomが仕掛ける敵対的買収への対抗策と見られています。
本稿の執筆時点ではQualcommのNXPに対する買収金額引き上げによって、Broadcomが手を引く可能性が浮上したと伝えられています。ですが、2つの買収がどのような結末を迎えるのか――当初の予定通り、QualcommがNXPの買収を完了するのか、BroadcomがQualcommを買収するのか、はたまた、BroadcomがNXP込みでQualcommを飲む込むのか――は杳として知れません。
Semiconductor soap opera
米EE Timesの記者、Rick Merritt氏は「半導体業界で繰り広げられている買収劇では、今後もさまざまな展開が待ち受けていると考えられる。そのどれもがよい動きとは、筆者には到底思えない」(There are many shoes yet to drop in this semiconductor soap opera. None of them look very pretty to me.)と辛辣なコメントを残しています。
企業買収は「売り上げ規模や製品ポートフォリオの拡張によって競争力を高める」「不足する技術や製品を補う」といった効果を生みますが、BroadcomがQualcommを買収した場合、Wi-Fiチップに強い前者とモバイルSoCで強い後者があわさることになり、スマートフォンを含むモバイル製品を手掛けるにとっては絶対的な存在の企業が誕生することになります。自動車も既に通信機能を持った移動体になりつつありますので、周辺に及ぼす影響は大きいと思われます。
エレクトロニクス関連企業動向 主要ニュース
2018年2月の企業動向(エレクトロニクス分野)
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[BroadcomのQualcomm買収策にハッピーエンドは訪れない](http://eetimes.jp/ee/articles/1802/16/news031.html)・
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[QualcommがNXP買収額を引き上げ、440億ドルに](http://eetimes.jp/ee/articles/1802/26/news060.html)・
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[中国との距離縮めたいQualcomm、買収承認の行方](http://eetimes.jp/ee/articles/1802/01/news081.html)・
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[STとMACOMがRF向けGaN-on-Siでの連携を発表](http://eetimes.jp/ee/articles/1802/21/news029.html)・
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[東芝、四日市新製造棟の一部クリーンルーム化投資を決定](http://eetimes.jp/ee/articles/1802/20/news101.html)・
BroadcomのQualcomm買収策にハッピーエンドは訪れない
Qualcommに「最善かつ最終の買収提案」を行ったBroadcom。だが、この買収案に対しては、「株主にとっては利益があっても、長い目で見れば業界にはマイナス」という見方も多い(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2018年2月16日掲載)
QualcommがNXP買収額を引き上げ、440億ドルに
QualcommがNXP Semiconductorsの買収金額を、440億米ドルに引き上げる。これによって、BroadcomがQualcommの買収を撤回する可能性が出てきた(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2018年2月26日掲載)
中国との距離縮めたいQualcomm、買収承認の行方
QualcommによるNXP Semiconductorsの買収は、詳細な調査を理由に承認を長引かせていたEUからも承認が下りた。残るは中国だけだ。一部の観測筋は楽観視しているが、Qualcommには“弱み”もある(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2018年2月1日掲載)
STとMACOMがRF向けGaN-on-Siでの連携を発表
STMicroelectronicsとMACOM Technology Solutions Holdingsは2018年2月、シリコンウエハー上に窒化ガリウムを形成する「GaN-on-Si」を共同開発することで合意したと発表した。(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2018年2月21日掲載)
東芝、四日市新製造棟の一部クリーンルーム化投資を決定
東芝は2018年2月20日、NAND型フラッシュメモリの生産拠点である四日市工場で建設中の第6製造棟における一部のクリーンルーム化工事と関連する設備投資(総額270億円)を計画通り実施し、2018年末に完了させると発表した(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2018年2月20日掲載)
Intelの元社長、サーバ向けArm SoCで再始動
2015年にIntelを退任した、元プレジデントのRenee James氏が、Ampere ComputingのCEOとして、データセンター向けサーバ向けArm SoC(System on Chip)を発表した。データセンター向けサーバ市場は現在、Intelの独占状態だ(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2018年2月7日掲載)
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