PLM Forum 2019 Spring
サンデンRSをPLMシステム導入へと突き動かした3つの現場課題とBOM改革への思い(1/2 ページ)
PLMシステム導入の成功の条件とは? 他社の事例や取り組みをヒントに、PLMシステム導入のベストプラクティスについて学ぶセミナー「PLM Forum 2019 Spring」が開催された。本稿ではサンデン・リテールシステムによる事例講演「最速BOM改革への挑戦 ―紆余曲折を経て、即断即決!―」の内容をレポートする。
PLMシステム導入の成功の条件とは?
現場課題が浮き彫りとなり、PLMシステムの必要性に迫られ、本格的に導入検討を始めている企業も少なくないだろう。しかし、いざPLM導入を社内で展開するとなると、現場から経営まで多くの利害関係者が存在するため、一筋縄ではいかない。事実、PLM導入を検討した結果、「断念した」「うまく立ち上がらなかった」という声も聞かれる。では、どのようにすればPLMシステムの導入、全社展開がうまくいくのだろうか?
残念ながら、それぞれ抱えている課題や取り巻く環境、事業規模などが異なるため、“唯一の答え”というものは存在しない。
しかし、PLMシステム導入の成功の条件に関して、他社の事例や取り組みから学べることも多くある。PLMシステム導入のベストプラクティスとは何か。具体的にどのような紆余(うよ)曲折を経て、現在に至るのか――。
そんな現場の“生の声”をヒントに、PLMシステム導入のベストプラクティスについて学ぶセミナー「PLM Forum 2019 Spring 事例に学ぶPLMのベストプラクティス」(主催:東洋経済新報社、協力:PTCジャパン)が2019年3月7日に開催された。本稿では、同セミナーに登壇した、サンデン・リテールシステム 常務執行役員 事業工場長 久保田顕氏の事例講演「最速BOM改革への挑戦 ―紆余曲折を経て、即断即決!―」の内容を紹介する。
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BOM体系整備の重要性を認識させた3つの現場課題
サンデングループで流通システム事業を担うサンデン・リテールシステムは、食品流通領域をメインターゲットに、コンビニエンスストアなどに導入されているオープンショーケースや平型ショーケースといった商品陳列棚、コーヒーマシン、電子マネー端末、温湿度モニタリングサービスなどの「店舗システム」と、自動販売機をはじめとする「ベンディングシステム」を手掛け、グローバルで事業展開している。
サンデングループ全体として、海外23カ国/地域、54拠点のグローバル体制を構築しており、「使う場所で造る」を同グループのモノづくりコンセプトに掲げ、28の海外生産拠点を中心にグループ主要製品の製造を行っている。
そんな同社で長年キャリアを積んできた久保田氏は、BOM体系整備の重要性を認識した出来事として、【電子部品編】【海外編】【リーマンショック編】の3つの体験談を紹介した。
1.モノづくりでの課題【電子部品編】
それは、久保田氏が電子製造課長を務めていたころのことだ。チップマウンター(表面実装機)で電子部品をプリント基板に配置する際、テーピング部品が用いられるが、当時、部品単品ごとに図番(=品番)を付け、さらにそのパッケージにも図番を振って管理していたという。さらに、テーピング部品は極性に合わせて右巻き、左巻きが用意されており、同じ部品であるにもかかわらず、巻き方の違いごとにも図番を付けていた。
「このような状況であったため、1つの部品に対して図番が複数発生してしまった。このことを『異番同体』と呼んでいたが、これが頻繁に発生したがために、同じ部品の在庫が増加してしまった。さらにその一方で、左巻き仕様のテーピング部品の不足が生じた際、右巻きの同じ部品が余っているのにもかかわらず、欠品扱いとなり、左巻き仕様のテーピング部品を一生懸命探し回る状況に陥っていた」と久保田氏は振り返る。
その後、製造部門側でこの問題の改善を図ったが、是正するのに多大な労力を要したという。
2.モノづくりでの課題【海外編】
続いての事例は、久保田氏が米国テキサス州ダラスにある自動販売機の工場に赴任した際、大きな衝撃を受けた出来事だ。この自動販売機工場で一番の問題となっていたのが製品の在庫過多である。この問題を認識していた久保田氏は実際に倉庫を見に行ったが、想像しているほど多くの在庫は存在していなかったという。
「『では、なぜ問題になっているのだ』と現地スタッフに聞いたところ、工場の庭を指さした。そこには4フィートコンテナが並んでおり、その中に出荷待ち状態の自動販売機がたくさん保管されていた……」(久保田氏)
なぜこのようなムダが生じるのか、久保田氏が調査してみると、加工から組み立て、出荷までが横一線につながっており、リードタイムが多くかかっていることが分かった。実際、顧客からの注文を受け、生産計画に基づき、各工程に落とし込み、そこから加工、組み立て……と各工程を経て、製品を完成させるというフローをとっていた。
「当社のBOMは単一BOMで、部品から製品までがずっとひも付いている状態である。そのため、部品を作り、組み立てて、製品として完成させるという流れでモノを作っていた。結果的にリードタイムが7日間かかっており、在庫を生み出す原因となっていた」と久保田氏は説明する。
当時、同工場では約40種の自動販売機を扱っていたのだが、分析してみると共通化できるユニットが存在することが分かった。そこで、共通化できるユニット単位で在庫を持つようにしておき、最終ラインで注文を受けた製品にカスタマイズして出荷するフローに変更した。これにより、リードタイムが1日に短縮され、無駄に抱えていた最終製品の在庫も大幅に削減できたという。
3.モノづくりでの課題【リーマンショック編】
その後、米国赴任から帰国し、電子生産管理課長として配属された久保田氏を待ち受けていたのはリーマンショックである。このあおりを受けた電子部品サプライヤーが不採算部品の整理を始め、同社が使用していた電子部品の生産中止を突如通達してきたのだ。
「仕方がないので違う部品を探して代替するという流れになるが、当社のBOM構成は製品から部品までがずっとひも付いていることから、電子部品を変更すると、連鎖的に大規模な図面の改廃作業が生じてしまう。これを『芋づる改廃』と呼んでいるが、膨大な改廃作業をやっている余裕などなく、結果的に改廃ルールを無視するという状況に陥り、図番をそのままに部品だけ変えてしまうという二重図番管理(1つの図番に部品を二重登録)の状況を生み出してしまった」と久保田氏は語る。
そして、1つの図番に違うものがひも付いている状況に陥ったことで、調達から製造、サービスに至る全てにおいて、大混乱を招いてしまったという。「その後、多大な労力をかけてこの課題を収束させていったが、非常に多くのムダを生み出してしまった」(久保田氏)
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