PTC セミナーレポート
デジタルデータ活用で個別受注設計の完全自動化を目指すエリオットグループ(1/2 ページ)
東洋経済新報社が主催(PTC協賛)するセミナーに、エリオットグループ 生産・調達統括部 生産技術部長の柏井正裕氏が登壇。「デジタルデータのフル活用で個別受注設計を完全自動化」をテーマに、PTCの「Creo」を活用した個別受注設計の完全自動化への道のりと、「Windchill」を用いたグローバル設計環境の構築について紹介した。
このほど東京都内で、PLM(Product Life cycle Management:製品ライフサイクル管理)を活用した製品設計の現場における課題解決と新たなイノベーション創出の可能性などをテーマにしたセミナーが開催された(主催:東洋経済新報社/協賛:PTC)。
事例講演では、エリオットグループ 生産・調達統括部 生産技術部長の柏井正裕氏が登壇。「デジタルデータのフル活用で個別受注設計を完全自動化」と題し、PTCの3次元設計ソリューション「Creo」を駆使した個別受注設計の完全自動化への道のりと、PLMシステム「Windchill」を活用したグローバル設計環境構築について紹介した。
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自動設計環境の構築に向けたエリオットグループの取り組み
エリオットグループは、ターボ機械の設計や製造、アフターサービス事業などを展開するグローバル企業。創業から100年以上の間、エンジニアリングの革新、信頼性の高い製品の製造、顧客満足の達成に取り組んでいる。主力事業の1つであるターボ機械事業は2000年に親会社の荏原製作所からを引き継いだもので、2002年に荏原製作所から分社化した荏原エリオットとElliott Company(米国ペンシルベニア州)が一体となり、2011年からエリオットグループとして統合経営を開始している。
エンジニアリングと製造の拠点を日本の千葉県袖ケ浦市と米国ペンシルバニア州ジュネットに置き、遠心コンプレッサー、軸流コンプレッサー、蒸気タービン、動力回収ガスエキスパンダなど、多種多様な回転機器を製造している。フルサービスの修理センター、フィールドサービスチーム、営業サポートオフィスからなる同グループのグローバルネットワークは、北米、南米、欧州、中東、アジアに広がる。
主要製品のコンプレッサー(圧縮機)は、原油や天然ガスなどから発生するガスを処理し、人間が利用できるものへと変換する製油所や石油化学プラントにおいて、プラントにガスを送り込む心臓部となる装置だ。蒸気タービンは、このコンプレッサーを動かすために高温高圧の蒸気で駆動力を与える機械である。
同社では、これら製品の設計に関連し「モノづくり」プロセスの最適化をグローバルに展開することなどを目指し、2006年からデジタルデータを使った改革を行ってきた。まず、2006年にPTCのCreoを導入し、3D自動設計への取り組みを開始した(自動設計環境構築フェーズ1)。続いてWindchillの導入を行い、その後さらに自動設計環境構築フェーズ2へと取り組みを進めている。
図面中心から3Dモデル中心へと考え方を変える必要がある
柏井氏は、産業用送風機メーカー、船用コントロールメーカー、直動部品メーカーを経て、2006年からこの3D設計運用プロジェクトに携わってきた。プロジェクトをスタートした当時を振り返りながら柏井氏は、「以前勤務していた会社で3年程度Creoを使っていたので、スキル的には自分の中で納得のいくレベルに達していた。当時オペレーターが存在していなかったので、自分で資料を作って教育しようと思い、80時間分の資料(全200項目)を作成し、メンバーへの教育を半年かけて実施した」と述べる。
また、2D CADと3D CADの違いについては、例えるならば2Dは鉄道で、3Dは航空機であり、同じように乗客を目的地に運ぶ(CADツールでは設計者の意図を伝えるという目的)役割は同じだが、その運用思想は全く異なると表現。航空機は鉄道と比べて巨大な敷地を必要とする(空港)一方で、当然(空中には)線路は存在しない。このような違いが3D CADと2D CADにはあるという。そして、「鉄道の常識は、(航空機には)全く通用しない」と柏井氏は説明する。
講演では、教育用資料の例として、「ソリッドサーフェスはソリッドモデル表面のサーフェスを選択する行為」などの画面を示し、ソリッドサーフェスの全選択について紹介している部分を取り上げた。また、最終局面としたPro/Programのトレーニングに関する資料も披露した。
日本の製造業で、設計に関する特徴としてよく見られるのが“図面信仰の強さ”だという。「この図面が設計情報の中心であるという考え方から、モデル中心へと考え方を変える必要がある」と柏井氏は強調する。また、例えばモデリングは3D CADで行い、図面は2D CADで行うケースもあるが、「これは絶対に避けなければいけない運用である」(柏井氏)などのポイントを解説。さらに、2D CADと比較して3D CADは図面機能に劣るということが語られることもあるが、「3D CADの特性をよく理解すれば、2D CADのような機能はそもそも不要である」と柏井氏は指摘する。
この他、リレーション、Pro/Programを駆使した設計環境においては、それとともに標準品と都度設計(固変分離)を行う必要があるという。標準品は手を加えることなくそのまま再利用する部品。都度設計品は客先の仕様に合わせて都度設計する部品(同じものはなく全て違うものとなる)だが、この都度設計品を設計するのにフィーチャーパラメトリックは極めて有効になるという。
続いて、フェーズ2でのCreoによる3D自動設計への取り組みについて説明するため、完全自動設計のプロトタイプについてデモンストレーションを行った。「これにより何を目指すのかというと、エンジニアリングのリードタイムを極小化させることだ」と柏井氏は述べる。
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