PTC Forum Japan 2017|ブラザー工業 講演レポート
ブラザー工業が“考えてから作る”設計を実現するために選択した道(1/2 ページ)
設計品質向上、設計効率化に取り組むブラザー工業は、「作りながら考える」設計スタイルから脱却し、「考えてから作る」というやり方への転換を図るべく、PTCのパラメトリック3D CAD「Creo Parametric」を採用。同時に、工学技術計算ソフトの「PTC Mathcad」を活用することで、設計現場が抱える3つの課題を解消した。
「設計品質向上」「設計効率化」は、多くの設計現場で共通する永遠のテーマだろう。こうした目標を達成すべく、ツールやソリューションを導入したり、標準化やルール作りを行ったり、あるいは組織や管理体制を見直したり、設計者個人のレベルアップに努めたりと、各社さまざまな取り組みを推し進めている。
1908年創業のブラザー工業もそうした企業の1つだ。同社はインクジェットプリンタやオフィス向け複合機、スキャナーを主力製品とするプリンティング・アンド・ソリューションズ事業を含む合計5つの事業を柱とし、現在40以上の国や地域に生産および販売/サービス拠点を設け、グローバル展開している。
同社では、グローバルでの製品開発プロセスを改革すべく、数年前からPLMプラットフォームとしてPTCの「Windchill」を導入。そのPLM推進活動の一環として、従来使用していたCADを、同じくPTCのパラメトリック3D CAD「Creo Parametric」に置き換え、さらなる設計品質向上、設計効率化に挑戦している――。
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お詫びと訂正:本レポート記事の基となる講演のスライド撮影および記事化に関して、TechFactory編集部では事前に主催者であるPTCジャパンから許可を頂いておりましたが、2018年1月15日、PTCジャパンからの申し出により、記事公開段階で掲載していたスライド画像を全て削除することとなりました。記事初出時から大幅に修正することとなり、読者の皆さまに深くお詫び申し上げます(TechFactory編集部)
「作りながら考える設計」で悩むブラザー工業を救った「PTC Mathcad」
PTCジャパン主催の「PTC Forum Japan 2017」の分科会セッションで、ブラザー工業 開発センター 開発企画部 開発推進グループ 主任の竹ノ下雄司氏と、ブラザー工業の取り組みを支援したアビームシステムズ ソリューション事業部 コンカレントエンジニアリンググループ Specialistの高橋真人氏の両名が登壇し、「設計書と3Dをひとつに! ~Mathcadによる連動~」というテーマで講演。ブラザー工業が推し進める設計品質向上、設計効率化の取り組みについて説明した。
まず、従来使用していたCADからCreo Parametricへと移行した狙いについて、ブラザー工業の竹ノ下氏は「これまでの『作りながら考える』という設計スタイルから脱却し、『考えてから作る』というやり方へと転換することで、設計効率化と品質向上につなげたかった」と語る。
ブラザー工業では、この取り組みを支援するため、ギアなどを半自動で作成するツールや社内ルールにモデルが適合しているかどうかをチェックするツールなど、3D/2D図面の作製を補助する各種ツールおよびソリューションを展開。これらを随時使用してもらうよう設計部門などにアナウンスしていたという。「だが、これらツールやソリューションを活用しても、本当の意味での設計品質の向上や効率化を実現することができず、“まだ壁がある”と感じていた」と竹ノ下氏は振り返る。
そこであらためて、どのような課題を解決すべきか、設計部門に意見を求めたところ、非常に多くの意見が寄せられたという。例えば、「過去資産の設計根拠を効果的に生かせていない」「パラメトリック設計への意識改革をもっとフォローしてほしい」「各種設定をそれぞれのウィンドウで入力するのが面倒である」「後で見直してみると、入力値を間違えているケースがある」といった声だ。
これら現場課題について、前述したブラザー工業が目指す「考えてから作る」という設計思想を踏まえて整理してみると、「大きく3つの課題に整理できた」と竹ノ下氏は説明する。その3つとは、「3Dメインの設計スタイル」「分断された設計書と3D」「伝わらない設計根拠」である。この3つの課題を解決すべく、ブラザー工業とアビームシステムズは協力し、PTCの支援を受けながら最終的に工学技術計算ソフトの「PTC Mathcad」(以下、Mathcad)を活用した解決策に行き着いたという。
アビームシステムズの高橋氏は、数多くあるMathcadの機能のうち、「数式の自然な記述」「数式の評価(計算)」「行列の定義、計算」「単位の導入、換算」「画像の挿入」を紹介。「Mathcadのワークシート上では、紙のノートに数式を書いている感覚で記述が行え、計算を実行できる。非常に手間の掛かる行列の掛け算や、ややこしい単位を考慮した換算などが非常に簡単に行える」(高橋氏)。さらに、Mathcadのワークシートを部品あるいはアセンブリ単位でCreoの3Dモデルに埋め込むことができる(内包できる)点、Excelコンポーネントを利用することでExcelとMathcadのパラメータをリンクできる点、Creoへの変数入力/出力に対応している点をメリットとして挙げた。その中でも「MathcadのワークシートをCreoに内包できる機能が最も大きかった」と高橋氏は評価しており、この機能が今回の取り組みの“肝”となっていることを強調した。
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導入事例(メカ設計)
「3D CAD」「CAE」「3Dプリンタ」「AR/VR」などの導入・活用事例や、2Dから3Dへの移行、試作・小ロット生産の効率化、ツール統合、デジタル連携など、各社が取り組む先進事例を多数ご紹介。課題解決のヒントにぜひご活用ください。
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