PLMフォーラム Autumn 2018 講演レポート
上流のシステムがおかしい!? 新PLM導入で工場の課題解消に取り組むシンフォニアテクノロジー(1/3 ページ)
「PLMフォーラム Autumn 2018」(主催:東洋経済新報社)では、“製造業のデジタル変革を支えるPLMの最適解”をメインテーマに、PLMの現場導入に取り組むユーザー事例講演が行われた。本稿ではその中の1社、シンフォニアテクノロジーによる「Windchill導入による工場業務効率の改善」について取り上げる。
PLM(製品ライフサイクル管理)導入事例
製造業のデジタル変革が加速する中、「PLM(Product Lifecycle Management:製品ライフサイクル管理)」の重要性が再認識され、PLMシステムを導入しようとする動きが活発化しているという。
2018年9月12日に開催された「PLMフォーラム Autumn 2018」(主催:東洋経済新報社)では、“製造業のデジタル変革を支えるPLMの最適解”をメインテーマに、PLMの現場導入に取り組むユーザー事例を紹介。現場課題の認識や原因分析、経営層を巻き込んだPLM導入プロジェクトの推進、そしてソリューション選定および環境構築に関する注意点など、PLM推進者にしか語れない“生の声”に多くの聴講者が熱心に耳を傾けていた。
本稿では、シンフォニアテクノロジー(旧:神鋼電機) 豊橋製作所 執行役員 製作所長 花木敦司氏の講演「Windchill導入による工場業務効率の改善」について取り上げ、製造部門主導で“今まさに行われている”PLM導入プロジェクトの取り組みを紹介する。
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短期間で生産数が倍増――顕在化し始めた設計・製造の課題
花木氏が製作所長を務める同社 豊橋製作所では、半導体クリーン搬送機器、振動機器、パーツフィーダ、自動車試験装置、産業インフラシステム、社会インフラシステムの製造を担う。中でも半導体クリーン搬送機器は同社の中核事業の1つでもあり、主力製品であるロードポート(半導体製造装置に材料を供給するインタフェース部)は、世界トップクラスのシェアを誇るという。
半導体市場は今、需要が長期的に拡大し続ける「スーパーサイクル」の時期にあり、同社の顧客である半導体装置メーカーからの発注も増え、主力のロードポートの生産数が短期間のうちに倍増。うれしい悲鳴のようにも聞こえるが、「生産量が短期間で一気に急増したことで、工場内の至る所で問題が顕在化していった」と花木氏は振り返る。
まず“設計の問題”としては、生産量の増加で繰り返し品の間接業務が急増し、変更管理業務にかかる検索時間が増大。さらには図面の修正ミスによる誤手配や設計ミスが頻発し、顧客要求に応えられない状態になりつつあったという。「半導体業界は変化の激しい業界であるため、お客さまからの新しい要求やそれに伴う新規開発に応えられないままでいると、いつか『オセロ』のコマのように一気にひっくり返されてしまう。そのような危機感を抱いていた」と花木氏は述べる。
一方、“製造の問題”としては、2018年10月からSAP ERPの全社導入が決定しており、M-BOM(製造部品表)の整備が必要だったが、既存のPLMでは機能不足で、新たな機能を追加しようにもシステム人員が確保できないという課題を抱えていた。
このような現状を前に、製造畑一筋で製造部長→工場長→製作所長と歴任してきた花木氏は、工場革新活動や業務改善の視点から「何かおかしい?」と感じたという。
実はそうした疑問は、部門のQCDを追い求めていた製造部長時代では気が付かなかったとし、「工場長になり全体を見渡せるようになって、初めて『どうも上流のシステムがおかしいぞ?』と気が付くことができた。そして、つながっていない、属人的な設計現場の実態が見えてきた」と花木氏は説明する。
例えば、ある設計者がインフルエンザなどで休むことになると、長期間設計業務が停止するといったことも発生していた。「この状態のままでは、スーパーサイクルの機会をみすみす逃してしまう」と花木氏は危惧する。また、既に導入していたPLMシステムについては、何でも自分で作る(自社開発する)必要があったため、そこまで労力をかけることができず、結局理想的なPLMとして機能させることができなかった。
こうした現状に直面した花木氏は、さらに「さまざまな製品や事業展開を行う中、全部一気に同じシステムで管理するのは難しい」「『標準化』という言葉も聞かれるが、結局『属人的』な働き方から抜け出せていない」「IT先進企業ではないので、ITに対して保守的であり、システム要員も限られている」といった感想を持ったという。加えて、「繰り返し品の個変管理はPLMで自動展開できそうだ」「ERPも大切だが、それよりも前に上流の設計データをきれいに管理する必要がある」との思いも抱いた。
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