Zuken Innovation World 2017
Excel「アングラPLM」の限界、製造業に高まるプラットフォームの必要性(1/2 ページ)
「ビジネスのデジタル化」「デジタルトランスフォーメーション(DX)」などの言葉は製造業でも無縁なものではない。自動運転車のような先進事例に対応していくためには、設計や情報管理のやり方も変わらなくてはならないとアラスジャパンの久次氏は訴える。
「ビジネスのデジタル化」や「デジタルトランスフォーメーション」といった言葉が話題になって久しい。これらのキーワードは“既に多くの職場へアプリケーションやPCといったカタチで導入されているものの、機能単位でしか活用されておらず、ビジネスや職場全体の活性化には「トータルとしてのIT活用」が必要だ”という視点にて語られる。
図研が2017年10月に開催したプライベートイベント「Zuken Innovation World 2017」に、PLMプラットフォームベンダーArasの日本法人であるアラスジャパンの久次昌彦氏が登壇。デジタルによる変革は決して製造業にとっても無縁のものではなく、自動運転車のような先進事例に対応していくためには、「設計や情報管理のやり方も変わらなくてはならない」と訴えた。
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製造業も「プラットフォーム」の時代に
「ADAS設計に必要な、MBSEから始まるこれからの回路設計情報管理」と題した久次氏の講演は2011年の資料を振り返るところから始まった。2011年に中小企業庁が発行した「中小企業白書」には、自動車の進化や変化が及ぼす影響の例として「次世代自動車で不要変更となる部品」や「電化によって不要となる部品点数」などが掲載されている。
この予測が当たっている当たっていないは別として、自動車におけるパワートレーンの多様化やADASの進化と普及などは進んでおり、それらは設計の複雑化を招いている。設計作業の方法は、製図台を用いた作業からコンピュータを用いた2D CAD、そして3Dへと進化したが、設計対象物の複雑性に対して十分な進化といえるかと問われれば、否だろう。
その一方で、企業全体のITの進化を見てみると“電卓から計算機に”といった変化に代表される「ITによる業務プロセスの強化」、パーソナルコンピュータの普及に見られる「ITによる業務の置き換え」、そして現在はクラウドやビッグデータによる「ITと業務のシームレス化」と進化しており、久次氏はこの変遷をそれぞれ「言語の時代」「業務ソフトの時代」「プラットフォームの時代」と表現する。
このプラットフォームの時代に至り、設計はどう変化してきたか。CADはメカのCAD、エレキのCADと開発プラットフォームが増え、ソフトウェアはALM(Application Lifecycle Management)によって開発と管理が行われるようになった。こうした開発プラットフォームの細分化がPDM(Product Data Management)やPLM(Product Lifecycle Management)の必要性を喚起することになったというのが現状だろう。
これを俯瞰すると、複雑な機能を持つ現在の製品開発において、物理的な設計にはメカとエレキのCADが必要であり、その上でソフトウェアの設計とテストが必要であるという図式が浮かび上がる。
この複雑さを単純化するための手法の1つが、製品全体を見渡すために、搭載する機能と搭載背景を明確にするシステムズエンジニアリングのモデル化であるMBSE(Model Based Systems Engineering)だ。システムズエンジニアリングおよびMBSEでデザインされたモデルを有効に活用するためには、企画/開発/試作/量産をまたぐモノづくりのV字をつなぐ設計データの流れとトレーサビリティを実現する「デジタルスレッド」を確保する必要が生じる。
しかし、メカとエレキ、それにソフトのいずれも情報の粒度が異なり、まとめるのは至難の業だ。そのためアンダーグラウンドで横行しているのがExcelでの管理だ。しかし製品のこうした“アンダーグランドPLM”なExcelは通常、数千の行と万単位の列になり、開くのにも十数分かかる非効率なものになる。
決してExcelでの管理がNGなのではない。複雑な製品開発のV字モデルを完遂するためには情報の分断を避けねばならないが、Excelでは限界がある。かといってPLMを導入しても3D CADデータの管理しかできていないことが多い。久次氏は「MBSEの実施効果を得るようにするには、CADデータやBOM管理だけのPLMではなく、プロダクトライフサイクルをつなぐデジタルスレッドを実現し、製品情報を流通させるためのプラットフォームが必要になる」と提案している。
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