PLM Forum 2019 Spring
サンデンRSをPLMシステム導入へと突き動かした3つの現場課題とBOM改革への思い(2/2 ページ)
BOM改革プロジェクト始動までの歩み
このような幾つかの経験から「BOMの体系整備は最重要事項として取り組むべきものだ」との認識を強め、久保田氏はBOM改革への取り組みを加速させていった。
Step1:紆余曲折
「現状の当社BOMの問題点は、開発がBOMを作り、この単一BOMを用いて、開発から最後の保守まで全工程を賄うという構造にある」と久保田氏は指摘する。その結果、開発、調達、製造、保守といったあらゆるフェーズでムダを生み出しているという。
久保田氏はこの事実を強く受け止め、全社に向けて改善提案を行おうと試みたが、「単一BOMでの運用を50年以上行ってきた状況だと、なかなか話が通じず、賛同を得ることが難しかった」と振り返る。
非常にもどかしい思いをしたそうだが、その後も諦めずに改善提案を通そうと努力し続けた結果、水面下で少しずつこの話題、現状課題の認識が広まり、サンデングループ全社プロジェクトとして、PLMを導入する動きが本格化していくこととなる。
「やっと問題を認識してくれた」と久保田氏は大喜びし、陰ながらこのプロジェクトの推進をバックアップしていった。しかし、プロジェクトのキックオフおよび構想企画を発表する場において、サービス、つまりSBOM(Service Bill of Materials)の概念がすっかり抜け落ちていること、さらにグローバル展開を前提とした現地調査においてもあまりうまくいっているようには見えなかったことに対して、大きな不安を感じたという。
Step2:即断即決
久保田氏の心の中で不安が大きくなりかけたとき、サンデン・リテールシステムの経営トップ交代というタイミングが訪れた。久保田氏は「これはチャンスだ」と、もう一度、現状課題を認識してもらうべく直接社長に直訴し、さらに社長自ら現場に赴いてもらい、一つ一つの課題やムダについて丁寧に説明していったという。
そして、この努力が実り、新社長はすぐさま全社プロジェクトから抜けることを宣言し、サンデン・リテールシステムで独自にプロジェクトを組んで、PLM導入を進める方針を固めた。
「サンデン・リテールシステムのPLM導入プロジェクトでは、一気通貫で意思疎通ができ、迅速な意思決定ができるよう極力シンプルなプロジェクト体制を構築した。さらに、システムベンダーに関しても再選定を決め、グローバルでの展開も得意で、われわれの弱い所をよく知り、同じスピード感で一緒に実現できるパートナーはどこかという視点でさまざまな企業を評価し、最終的にPTC(Windchill)に決めた」と久保田氏は説明する。
Step3:最速実行
その後、社長の指示の下、とにかくムダを早期に排除するため“最短で実現すること”を目指し、BOM改革プロジェクトのスケジュールを線引きし、全社プロジェクト側よりも約1年早い、2019年5月運用開始という計画を打ち出した。
「当初の想定から大幅なスケジュール短縮を行った。これは非常に大きなリスクといえるが、ムダを早期に排除するにはリスクを承知でやる必要がある。そもそもリスクを負わない仕事は存在しない。そうした思いを理解した上で、それでも『やる』と言ってくれたわれわれのプロジェクトメンバー、PTCの協力には非常に感謝している」(久保田氏)
講演の最後、久保田氏は「全社プロジェクトが発足した際、紆余曲折があったが、サンデン・リテールシステム単独でのPLM導入をトップ自らが即断即決で決めてくれたことが非常に大きかった。そして、これを受けてプロジェクトメンバーやパートナーであるPTCが団結して最速実行を目指そうと、今まさに努力してくれている。企業というのは『水』で、入れる『器』によって形が変わってくる。現状のわれわれの器は穴だらけで、水が漏れている状態といえる。このムダを早く止めるためにPLMを導入するわけだ。器を変えるというのは、単にシステムを入れ替えるだけではなく、仕事のやり方、そして、企業文化を変えていかなければならない。そういう意識を持って取り組んでいる。目標である2019年5月の運用開始は、絶対に成功すると確信している」と締めくくった。
◎併せて読みたいお薦めホワイトペーパー:
» 5分で分かる「PLM」入門
» PLMシステムの効用とそれを実現するためのフレームワーク
» DMG森精機の「CRPプロジェクト」が推進する日独統合
» なぜモノづくりシステムのROIはよくないのか?5つの理由
» どうすれば世界で勝てる設計・開発が実現しますか?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
導入事例(製造IT)
ITツール/サービスを活用した生産性・品質向上、コスト削減など、製造現場の課題解決やさらなる革新につながる“デジタル活用”の事例を多数紹介。製造現場のITツール選定・導入のヒントにぜひご活用ください。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] AIで脱炭素計画を最適化、初年度からエネルギーコストとCO2を削減する方法 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の開発動向、日本の投資戦略やコスト目標の見通しは?
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:フィジカルAIが生み出す新たな「設計思想」――電子版2026年8月号
-
2
半導体装置メーカー 業績まとめ【2027年3月期第1四半期】
-
3
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part4)
-
4
一時は時価総額トヨタ超え キオクシア2026年度の動向
-
5
微細配線間の絶縁劣化をどう捉える? 先端パッケージ評価の最前線
-
6
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part1)
-
7
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:2026年上半期の半導体業界を振り返る――電子版2026年7月号
-
8
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part3)
-
9
CADツールの見直しは本当に必要? 切り替えの理由と効果を7つの質問で検証
-
10
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part2)
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー