企業戦略
工作機械のインテリジェント化に向け10年先を見据えるDMG森精機がIoTでMSと協業(2/2 ページ)
Azure採用の決め手は? DMG森精機がMSに期待すること
このたび、IoTソリューションに関連する協業を発表し、まずDMG森精機が提供するDMG MORI MESSENGERを自前サーバによる運用から、Azureへ移行することが明らかにされたが、クラウドプラットフォームとしてAzureの採用を決めたポイントはどこにあるのだろうか? このことについて川島氏は次のように説明する。
「DMG森精機は世界中に製造拠点があり、グローバル展開している。その点において、マイクロソフトは同じくグローバル企業であり、産業分野別に担当者がおりサポートレベルにおいて申し分ない。実際に担当者の話を聞き、セキュリティ面や全体の規模感において、現段階ではマイクロソフトと組むのがベストだろうと判断した」(川島氏)。その他にも、マイクロソフトが保有する製造業以外のIoT関連の知見についても魅力を感じているそうだ。
また、マイクロソフトへの期待について川島氏は「IoTの取り組みはまだスタートを切ったばかりだ。これからさまざまなデータが集まると同時に、社会環境も大きく変わっていく。通信環境やコンピューティングパワーもそうだ。そうした状況において、世界最大手のテクノロジー企業であるマイクロソフトには、社会のインフラを担うようなテクノロジーを今後も提供し続けてもらいたい。併せてコスト面での努力やサービスレベルのさらなる向上にも期待している」と述べる。
MSが掲げる「Tech Intensity」を象徴するDMG森精機のビジョン
一方、今回の協業を踏まえ、日本マイクロソフトの平野氏は「DMG森精機はマイクロソフトが掲げる『Tech Intensity』を象徴する企業といえる」と評価する。
Tech Intensityとは、世界がデジタル化してビジネス変革が加速する中、イノベーションを創出するためのキーとなる考え方で、(1)産業をけん引するような最新テクノロジーをいち早く自社に取り込み、そうしたベストプラクティス(インダストリースタンダード)を組織内で活用し、(2)同時にそれを自社ならではのユニークなテクノロジー/スキルとして育んでいくことを示す。「この2つのバランスがなければTech Intensityは成立しない。つまり、テクノロジーがどれだけ重要なものかを理解し、それを会社のコアとして見ることができるかにかかっている。経営者の考え方や判断、そしてそうしたものを受け入れる文化が必要になってくる。それが、他社との差別化や変革へとつながっていく」と平野氏は説明する。
DMG森精機の取り組みやビジョンは、このTech Intensityの考え方そのものであり、テクノロジートレンドや社会変革を視野に入れた上で、工作機械、ひいては製造業の在り方を模索し、その実現に向けてまい進している。
川島氏は「自動車の電動化(EV)」「AI」「高齢化」という3つのトレンドに対して、「こうした社会的な変化が機械工場にどのような影響を及ぼすのかを考えなければならない」とし、DMG森精機として、「5軸加工化/複合化」「自動化」「デジタル化」に取り組んでいることを明かす。このうちのデジタル化の中心を担うのがCELOSであり、多数のデータが蓄積された先に、AI活用による自動化(生産効率の向上)がある。
「長年、工作機械メーカーは機械を売ることだけに集中してきたが、(前述のような社会変化、トレンドを背景に)機械だけを購入する顧客は減ってきている。工作機械は一度導入すると10年以上稼働し続けるものであり、これまで職人の経験やノウハウによって生産効率の向上につなげてきたが、今後は工作機械そのものが進化し、生産効率を上げていけるような仕組みを工作機械メーカーとして提供していかなければならない」(川島氏)
Tech Intensityとは、先進テクノロジーをいち早く自社組織に取り込み、それを活用して独自製品、サービスなどとして育み、差別化や変革につなげていくことを意味する。このたびのIoTソリューションに関連する協業はその第一歩であり、まだ始まったばかりである。「近い将来、『昔の工場はこうだったよね』と(今の当たり前が古いものとして)語られるようになる。そのようなときが来るのを楽しみにしながら、この時代の変革期の最先端をマイクロソフトと一緒に歩んでいけることをうれしく思う」と川島氏は述べる。
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