宮田健の「セキュリティの道も一歩から」(33)
“自分ごと”として「ランサムウェア」についてもう一度考えてみよう(1/2 ページ)
「モノづくりに携わる人」だからこそ、もう無関心ではいられない情報セキュリティ対策の話。でも堅苦しい内容はちょっと苦手……という方に向けて、今日から使えるセキュリティ雑学・ネタをお届け! 今回は、企業組織や工場などを狙うランサムウェア攻撃の最新動向と、代替機によるバックアップ&リストアを行う際の注意点を紹介する。
「ランサムウェア」が日本国内でも認知されるようになって随分と時間がたちました。皆さんのランサムウェアに対する印象は「思い出の写真が暗号化されてしまう」「ビットコインを支払わないとデータが戻ってこない」「身代金を支払っても暗号化が解除されるわけではない」「対応はバックアップしかない」――といったところでしょうか。
実際、いろいろな人に話を聞いてみると、“ランサムウェアが狙うモノ”への理解が深まっているのと同時に、「データのバックアップを取っておこう」という意識も浸透しつつある印象を受けます(ここであえて付け加えるならば、「OS、Webブラウザを最新にしよう」という意識もお忘れなく!!)。
と、ここまでは「個人へのランサムウェア攻撃対策」のお話です。実は企業を狙うランサムウェアの攻撃は、さらに巧妙に、ずる賢く、そして紳士的になっていることをご存じでしょうか。以降でその実態を詳しく紹介します。
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組織を狙う「標的型ランサムウェア攻撃」
個人ではなく、組織を狙うランサムウェア攻撃とはどのようなものでしょうか。個人を狙うランサムウェア攻撃は、同じマルウェアを無差別に送り付け、そのうち0.1%でも“被弾”し、身代金が奪えればよしとする、いわばバラマキ型の攻撃です。しかし最近では、特定の組織を狙う標的型攻撃と同じように、対象となる組織の内部を細かに調査した後、攻撃者にとって効率の良い攻撃をした上でランサムウェアを発動する事例が増えてきています。
マカフィー主催のセキュリティカンファレンス「MPOWER 2018」で、ソフトバンク・テクノロジー プリンシパルセキュリティリサーチャーの辻伸弘氏が登壇し、“病院組織に侵入し、バックアップを取得しているサーバをランサムウェアによって「破壊」した後に、本丸である基幹システムを攻撃した”というランサムウェア攻撃の事例を紹介していました。
このような攻撃方法ですと、これまでのランサムウェア対策である「バックアップがあればよい」ということも“無”になってしまいます。あるタイプの攻撃への対処方法が一般化すると、攻撃者はさらにその1枚上を狙ってきます。この事例から“私たちの対処方法も再度アップデートをしなければならない”ということがいえるでしょう。
バックアップとリストア、“代替機”問題
前述のような事象への単純な回避方法は、バックアップを基本通り、「3-2-1ルール」に従いオフラインでも保管する、といったところでしょうか。バックアップの3-2-1ルールとは、バックアップを「3箇所に取る」「2つの方法で取る」「1つは離れたオフサイトで取る」というものです。これは“バックアップの基本”といえるアプローチですが、きちんと実施できているケースは少ないかもしれません。
さて、話をグッと「製造業」に近づけてみましょう。工場のラインなどを管理する端末がランサムウェアで攻撃された場合、すぐさま身代金を支払い、バックアップを戻すにしても、“復旧にはかなりの時間がかかってしまう”のではないでしょうか。
システムを早期に復旧することを最優先に考え、“管理端末の物理的なバックアップ=代替機”を用意している現場も多いかもしれませんが、その代替機を同じネットワークに接続していないでしょうか? もし同じネットワーク上に代替機が接続されていると、攻撃者はマシン名などをヒントに「それが代替機である」と推測して攻撃を仕掛けてくるかもしれません。
前述の3-2-1ルールにある通り、代替機として管理している端末は、オンラインにはせず、“隔離”しておくことが重要です。切り替え時間を最短にするため、ホットスワップ可能なシステムが求められていた時代であれば、これで問題なかったのでしょうが、近年のサイバーリスクを考えると、その方式も再度検討が必要かもしれません。
コールドスワップ的な代替機を用意する場合、その差し替え手順がマニュアル化され、アップデートされ続けることも重要です。普段行わない作業ですので、作業者が不安にならぬよう、念には念を入れた仕組みを用意しておくべきでしょう。
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