組み込みエンジニアの現場力養成ドリル(12)
パニック間違いなし!? 難易度高めな迷宮「京急蒲田駅」がUI的に絶対NGな理由(2/2 ページ)
羽田空港専用ホーム?
そして、「とどめの一撃」になるのが、4番線、6番線と同じ2階にある発車時刻表です(画像5)。
先ほどの画像3には、4番線と6番線の表示があり、中央の表示板には、先発、次発、次々発の電車の行き先と発車時間が電光板で表示してあります(「品川」「成田」「羽田空港」の文字が見えます)。それを見てから、同じホームの中央付近にある画像5の「羽田空港専用の発車時間表」を見ると、海外の旅行者は「ここから品川や成田空港へ行けると思ったのに、実は羽田空港専用のホームなのか?」と勘違いしてしまいます。この羽田空港専用表示板は、京急が勘違いを解消するため、親切で設置したのでしょうが、「小さな親切、大きなお世話」になってしまいました。
実は、2番線と5番線が存在する
ここまで書いて、「京急蒲田駅は迷宮である」と締めくくるつもりでしたが、軽い気持ちで「京急蒲田駅 5番線」でGoogle検索すると、とんでもないことが分かりました。
5番線は存在したのです。しかも、6番線の横浜寄りにありました(図2)。5番線は、各駅停車の普通電車が特急列車用の6番線を避けて、特急を先に通すための退避線路でした。ないと思っていた5番線が存在し、しかも、6番線とホームを共有するというまさかの構造でした(図1の(1)(2)(3)がここに集中しています)。実は3階の1番線と3番線も同じ構造になっており、2番線が存在します(図1の(4)(5)(6)が通っている)。
4番線が、羽田空港行きと品川行きという逆方向の線路を同じ1つのホームで共有し、さらに、6番線と5番線が同じ方向の線路を同じホームで共有しています。ソフトウェア工学的に表現すると、「同一モジュールを2つの機能で使用する機能共用のネストを2重で行っている」という複雑怪奇な構造をしています。ユーザーインタフェースの観点だけでなく、機能構造の意味でも、絶対にこんな構造にしてはなりません。大きなバグの原因となり、将来の拡張性が非常に困難となります。
改善策は?
問題が見つかれば、「現在の人、現在のモノ、現在の金で、何とか問題を解決する」のがエンジニアリングの基本概念です。大学の新授業の担当教員なら、別の教科の教員と兼任させることで解決できますが、京急蒲田駅のように、「待避線と本線を同じホームにし、さらに、反対方向の列車を同じホームで発着させる」という荒業の“ツケ”は非常に大きく、今の線路構造のままでホームの番号を変えると、余計に混乱を招きそうです。
構造、ユーザーインタフェースの両面で非常に複雑な構造をしていますが、ここまで“特異”な形をしていると、かえって“セールスポイント”になりそうです。3階建ての駅舎がドッシリと見えることと、簡単に“本丸”にたどり着けない複雑さから、マニアの間で「蒲田要塞(ようさい)」などと呼ばれているようですが、思い切って「日本最大級の駅型迷路、京急蒲田駅」で売り出し、海外からの旅行者には「Walk through the Maze in the Station」みたいなキャッチコピーで、“駅で迷うことを楽しむ”方向で対策する(正確には「ごまかす」)しかなさそうですね。(次回に続く)
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