「つながらない」「遅い」は過去の話
パナソニックがB2Bで再び脚光を浴びる「HD-PLC」の利点を100周年イベントで解説(2/2 ページ)
B2Bを中心とした活用事例も多数登場、「HD-PLC」活用のポイントとは?
HD-PLCの利用において、一部注意しなければならないのが利用範囲についてだ。国内では既設の電力線を用いて通信を行うため、他の装置などへの影響が心配されており、使用できる範囲が法律により制限されている。
現状使用が許可されているのは、家庭、集合住宅、オフィス、工場(敷地内の屋外も可。ただし3相および400V系は不可)のみで、敷地外での利用はできない。また、船、鉄道、自動車、飛行機などでの利用も許されていない。
「法整備により、敷地内(分電盤負荷側)であれば屋外利用も可能だが、海外に目を向けてみるとより多くの場所での利用が許可されている。国内でもより広範囲で利用できるよう、HD-PLCアライアンスをはじめ、電力線通信に携わる企業、業界全体で技術開発や評価を進め、規制緩和につながるような取り組みを推進している。近い将来、3相についても使えるようになると期待している」と斉藤氏は述べる。
講演では実際にHD-PLCを活用した事例を幾つか紹介。例えば、パナソニック 福岡事業場では、敷地内にあるHD-PLC検証ハウスを中心に、隣接する建屋、正門すぐの芝生の周りで大規模な構内ネットワークを構築し、検証を行っているという。また、パナソニック コネクティッドソリューションズ社の佐賀工場内では工場内の既設電力線を利用し、HD-PLCネットワークを構築。複数台のIPカメラを設置して作業内容のモニタリングなどに役立てている。その他、外部の事例として、プラント施設、ドイツにおけるスマート街灯など、さまざまな用途でHD-PLCの活用が進んでいる点をアピールした。
「HD-PLC」製品ラインアップと導入時の注意点
パナソニックのHD-PLC製品の現行ラインアップとしては、エコソリューションズ社の小中規模用途向け汎用(はんよう)PLCアダプター「WPNシリーズ」、コネクティッドソリューションズ社 ビジネスコミュニケーションBUの中大規模用途向け高機能PLCアダプター「DA-PU100シリーズ」がある。前者は設定レスで「まず試してみよう」というユーザーにおすすめの製品で、後者は各種インタフェース、防塵(じん)仕様などを備え、高度な運用を前提とした利用に適した製品だという。
また、コネクティッドソリューションズ社ではPLCアダプターの受託開発も手掛けており、デジタル部のモジュールからアダプターの形状まで顧客ニーズに最適な提案を行うことが可能だとする。さらに、事前セッティング、メンテナンス、モニタリング関連のツール類も整備する他、長年培ってきたコア技術やノウハウをパッケージにしたB2B向けのIoTサービス「μSockets(ミューソケッツ)」の提供も行っている。
加えて、同セミナーではHD-PLCの実導入のポイントとして、オフィスの受付にIPカメラを設置する例を紹介。従来分電盤を介して通信すると信号が減衰し、接続不良や遅延を招いていたが、「マルチホップ対応によりそうした心配がなくなった」と斉藤氏は話す。分電盤にマルチホップ用の中継用アダプターを設置することで、マスター装置から送られてきた信号を増幅して減衰を抑え、正常な通信が可能となる。
単相3線式の場合、分電盤中の2本の電圧線それぞれに中継用アダプターを設置。例えば、マスター装置とつながっている電圧線側の中継用アダプターで信号を増幅すると、別系統の電圧線にわずかな信号が誘導されるので、そのわずかな信号をもう一方の中継用アダプターで増幅する。こうすることで、別系統の電圧線につながった遠くの機器まで安定して信号を送ることができる。「HD-PLCを設置する際の注意点は、まず可能な限り電気配線図を準備すること。そして、PLCの設置間隔を200m以下にし、ノイズが心配なら中継用アダプターを設置して、分電盤の中にも同様に中継用アダプターを設置することだ」と斉藤氏は解説した。
セミナーのまとめとして、斉藤氏はあらためて「HD-PLCは、これからの超スマート社会、IoT時代の重要なネットワーク通信技術の1つである。特にエッジ部分、現場でのネットワーク強化に不可欠な存在といえる。確実につながるようになってきたことで、HD-PLCは使える技術だと理解されつつあり、今ではその利用範囲も拡大している」と強調。そして、今後さらなる低コスト化、セキュリティ強化、無線との融合といった技術進化にも継続的に取り組み、製品ラインアップの充実やサービス強化にもつなげていきたい考えを示した。
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