IoT時代の組み込み系ソフトウェア品質(10)
IoT開発と運用の13問答、IPA/SEC「つながる世界の品質確保に向けた手引き」より(4/6 ページ)
問答2:要求定義がユーザーを満足させるか
ユーザー視点における要求の妥当性確認をするために、「ユーザーが本当にこれを望んでいるのか」をもう一度問う。これに対する答は、実装する機能や性能、互換性、拡張性といった品質特性が本当に望まれているものなのか、利用環境やユーザー、利用状況に注目してレビューすることである。
レビューではこのIoTのセキュリティを含む安全安心が、ユーザーの真の満足になっているのか。さらに長期利用に伴う運用がユーザーを満足させているのかについて確認しなくてはならない。一例を挙げれば、「製品寿命やサービス終了時の運用はどうなっているのか」を確認する。これが問答2のキモである。
問答3:機能がユーザーの要求を満たしているか
ユーザー視点での要求の妥当性確認をするために、「ユーザーはこの機能を本当に望んでいたのかの適格性」を問う。
この問答3のキモは「実装の適格性」である。これにはセキュリティなどの非機能要求も含み、適格性を評価するためには評価シナリオを作り、その評価に合意することが必要である。思っていた機能と違うという悲劇または喜劇を生み出さないためにもこの問答は重要である。
問答4:多数多種なつながり方での動作と性能を検証しているか
IoTの特性に着目したテスト設計の課題に対して、「多数多種の接続など、IoTの特性に着目したテスト」になっているかを問う
IoTデバイスなどの多数接続に対しては、最大接続数やデータ最大数、不確定なデータ、消費電力、性能などを問題にする。多種接続に対しては機能やデータの互換性、テストの実行性や効率性が問題になる。この問答4のキモは「多数で多種なデバイスやマシン、機能、データ、通信の存在を認識し、検証しているか」である。
問答5:多種多様な利用環境やユーザーを検証しているか
IoTの特性に着目したテスト設計として「多種多様な利用環境や利用者を検証しているか」を問う。IoTシステムではいろいとなレベルのユーザーがいる。それこそハッカーから間接的な利用者までいる。間接的なユーザーとは、カメラで撮影されるなど自らの意図ではIoTを利用していないユーザーである。
これに対する答は、ユーザーのレベルや環境に大きな差があることを想定して検証することである。このためには利用状況などのフィードバックをして実態をつかむことも必要になる。問答5の心は「多様なユーザーに合わせる心」である。
問答6:障害や故障、セキュリティ異常と回復を考えているか
IoTの特性に着目したテスト設計として「障害や故障、セキュリティ異常と回復を考えているか」を問う。
これに対する答は、疑似故障/障害やシミュレーター、疑似ハッキングなどを活用して、IoTシステムの故障や障害、セキュリティ異常を発生させて、その検知と回復が妥当に行われるかを検証することである。またテストでは想定外の接続や異常データ、デバイス競合、長時間稼働などのテストを実施する。セキュリティでは脆弱性や攻撃の検知、対策の影響などをテストする。問答6の肝心は「どれだけ想定外のことを想定できるか」であり、これには「壊す」という思いが必要である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
IoT時代の組み込み系ソフトウェア品質
組み込みソフトウェアにおける「品質」とは、一体、何者であろうか。多用されている言葉であるがその実態はようとしてしれない。この連載ではIoT時代の組み込み系ソフトウェアの品質」をテーマに開発現場の目線で見ていく。出演者は情報系に籍を置く大学1年生の紅美 香美(くみ こうみ)と品質 寛容(しなしち ひろい)。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] 自動車業界には好機 脱炭素×コスト削減×現場改善を実現するエネルギー戦略 -
製品資料
[株式会社 Green AI] 脱炭素投資をすぐ回収したい 自動車業界にも有効なCO2削減アプローチ -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
CAE解析をAIエージェントに任せてみた 人は何を担うのか
-
2
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:「PCIM 2026」で見たパワー半導体最前線――電子版2026年10月号
-
3
スマート工場動向調査2026
-
4
「見て覚えろ」が通じない時代 製造業の保全技術はどのように継承すればよい?
-
5
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:製造現場にフィジカルAIをどう実装するか――電子版2026年9月号
-
6
製造現場などを支える状態監視システム サンプリングの位相ずれを減らすには?
-
7
高精度テクノロジーの学習モジュール 「高精度ADC 基礎編・上級編」
-
8
QC活動の形骸化はどう防ぐ? 実効性のある業務へ転換する3つの解消策とは
-
9
自律走行搬送ロボット(AMR)の位置推定と自律走行はどこまで高精度化できる?
-
10
半導体の微細な構成要素を非破壊で可視化/評価する「3D X線技術」とは?
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー