オムロン サイニックエックス
未来ではなく「近未来」をデザインするオムロン新会社、FAなど4領域に注力
オムロンが「近未来デザイン」を創出する新会社を設立した。AIやロボットなどに高い能力を持った人材を集め「ロボットを利用したFAの自動化」など、新規事業創出のけん引役としての役割を期待する。
オムロンが「近未来」の事業化を加速させる。AIやロボティクス、IoT、センシングなどといった領域で高い能力を持った人材を集めた新会社を設立、「ロボットを利用したFAの自動化」など、新規事業創出のけん引役としての役割を期待する。
新会社「オムロン サイニックエックス」(東京都文京区)の「サイニックエックス」は創業者、立石一真氏が提唱した“社会と科学、技術は相関性を持って変化する”とする予測論「SINIC理論」に、未知を表す「X」を付け加えた社名。オムロンは近未来の社会的ニーズをこの理論によって予測し、ニーズを満たす技術や知財、ビジネスモデルを開発していく「技術経営」を採用しているが、新会社は今の時代に即した技術経営の拠点の1つとなる。
同社の近年における主力事業はFA(FactoryAutomation)であるが、「オムロンの歴史は社会的ニーズの創造であり、創業者は工場だけではなく、さざまな領域の自動化を意図していた」(同社 執行役員専務 宮田喜一郎氏)というよう、1960年代から自動化についての取り組みと製品化を行っている。
代表的なところでは、交通渋滞の解決策である「全自動感応式電子信号機」、省力化と鉄道路線延長を両立する「自動無人駅システム」、現金引き出しの多様化に対応する「オンラインキャッシュディスペンサー」などであり、社会情勢の変化を捉えた自動化システムの商品化に意欲的な企業といえる。
未来を予測(社会情勢の変化を察知)して事業を検討するというと一般的な取り組み方であるように思えるが、宮田氏が「未来」と「近未来」では、事業としての取り組めるかどうかに大きな違いがあるとする。技術経営においては社会的な課題を解決するため、技術革新をもとに「近未来をデザイン」し、そのデザインを実体あるモノとするために具体的なアーキテクチャを設計し、求められる技術や知財を用いて(必要であれば開発し)で具体化する。
近未来デザインの分かりやすい例が「i-Automation!」である。これは「integrated(制御進化)」「intelligent(知能化)」「interactive(人と機械の協調)」という3つの「i」で製造現場の自動化を推進するというビジョンであり、労働力不足やモノづくりの高度化といった未来の課題に、3つのiによる解決という「近未来をデザイン」し、移動するロボットによるコンベヤーレス生産やロボビジョンによる高速検査、データ収集などで“知能化”するセルラインなどを実現してきた。
2017年春に発表した、機械学習型AIアルゴリズムを搭載したマシンオートメーションコントローラーもその1つである。「AI搭載コントローラーの開発に着手したのは10年前のこと。未来の工場を提案するというビジョンを描いたが当時の製品では、“匠の技”までは再現できなかったので、新たに開発した。新開発することで、さまざまなアプリケーションをソフトウェア実装するという事が可能になった。これも近未来ビジョンを技術にどう結び付けるかの一例といえる」(宮田氏)
オムロンにおける技術経営の実践は既に行われていることであるが、さらなる強化を狙い、施策として「イノベーションを加速させる全社横断組織の設立」「R&D拠点の新規開設」」「高度人材の採用と育成」を打ち出している。新会社はこの新たなR&D拠点の1つであり、新設された横断組織「イノベーション推進本部 IXI」とも連携して、事業部門で浮かび上がった課題を近未来デザインのアプローチで解決し、事業部門へ反映する。
ただ、新会社と新部署がイノベーション、既存事業部が現業という切り分けは行わず、人材異動なども流動的に行う予定であるという。「新会社だけで取り組みが完結するとは思っておらず、人材の多様性には細心の注意を払っている。デザインだけではなく、コア技術の開発も行う予定だ」(オムロン サイニックエックス代表取締役社長 兼 所長 諏訪正樹氏)
新会社は注力領域として「FA」「ヘルスケア」「モビリティ」「エネルギーマネジメント」の4つを挙げる。具体的な成果をどれくらいの時間で得るのかという目標については、「何らかを得るのは3年ぐらいかかると思っている。あまり時間の制約を設けるという考えはない」(宮田氏)と短期的な成果は目的にしないとするが、オムロンは中期経営計画にて「2020年度に売上高1兆円と営業利益1000億円、2020年以降の成長をけん引する技術と事業の創出」を掲げており、新会社にかかる期待は大きいといえる。
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企業戦略(FA)
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