exiii|開発者インタビュー
VR体験の物足りなさを解消する、触覚ウェアラブルデバイス「EXOS」が目指す世界(3/3 ページ)
“全部載せ”からの引き算で生まれた「EXOS」
――効率的な試作や小ロット生産を進めていく上で工夫している点は?
山浦氏 もはや工夫とはいえないが、3Dプリンタは当たり前のようにフル活用している。アップデートされたパーツをすぐに検証したければ社内の3Dプリンタでパーツを出力するし、いざ納品となれば外部の造形サービスビューローなどを活用してハイエンド3Dプリンタで出力したものを最終製品として提供している。基板やパーツの小ロット生産も国内外のサービスビューローをフル活用し、タイミングやコスト面を加味しながら複数社を使い分けている。最近では、外部のサービスビューローのクオリティーも上がっており、安心して使っている。
――デザイン面での難しさは?
山浦氏 身体や手の大きさは人ぞれぞれ異なり、大人だけでなく、子どもが使う可能性もあり得る。そういう点を加味して汎用(はんよう)的に万人が使用できるデザインを実現するのは非常に難しい。デザイン自体は社内で行っており、意匠など複雑な面はダッソー・システムズの「CATIA」を用い、内部の機構設計などはオートデスクの「Fusion 360」を用いている。
金子氏 製品ラインアップとして、グリッパーとリストがある通り、用途や目的によってデバイスを個別に用意する必要があると考えている。単一デバイスによる機能の全部載せというよりも、用途やニーズを見極めて、そこに向けて最適なデバイスを出していくことが大切だ。そして、そのようなアプローチをとりながら、並行して小型化や軽量化に関してもしっかりと取り組んでいく。
――プロトタイプから現在のデザインに至るまでの変遷は?
山浦氏 初期のコンセプトモデルから5本指のモデルを経て、グリッパーが生まれ、次にリストという順番で開発してきた。バーチャルオブジェクトを指でつかむ感覚が得られるグリッパーは、当初5本指から始まったが、5本指だと小さなモーターしか搭載できず、満足できるトルクが得られないため、リアルな触覚を実現するにはパワーが不足していた。そこから引き算のアプローチでデザインや機構を見直し、しっかりと触覚を再現できる現モデルに行き着いた。
金子氏 そして、グリッパーを用いて3Dデータに触れるという機能を突き詰めていくうちに、固定物に触れられない(手が突き抜けてしまう)という課題に直面。これを解決するものとして、リストが生まれた。これまでの開発を振り返ってみると、全部載せからの引き算でEXOSを実現してきたといえる。
海外市場を視野に入れた展開、そしてB2C領域での可能性
――今後の展望、マイルストーンは?
山浦氏 現状、“VR×触覚”という新しいジャンルを世に打ち出している最中だが、向こう1年ほどは、実際にどのような反応や要望があるのかを吸収して、製品の改善、ブラッシュアップにつなげていくフェーズだと考えている。そういう意味で、B2B向けに絞って主に国内でビジネスを展開しているが、将来的にはVR市場をけん引する中国や米国といった海外市場も視野に入れて勝負したい。触覚フィードバックの方式に関しても、現在の関節駆動方式に固執することなく、新たな方式の可能性についても追究しながら、次世代デバイスの研究開発にも力を入れていく考えだ。
金子氏 もちろん、コンシューマー向け、B2C領域での可能性についても追っていきたいと考えている。現段階でこれは! と思うものと巡り合っていないが、AR/VR市場の今後の成長や、限定的な利用から一般へと花開くタイミングなどをしっかりと見極めた上で、スケールできるものが見いだせれば挑戦したい。いずれにせよ、現実世界のオブジェクトと同じように、バーチャルオブジェクトが存在する世界が当たり前になったとき、触覚がどのように使われていくのか、それを先回りして「これはスゴイ」「これはほしい」と思われるような製品を世に送り出したい。
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