プロジェクトリーダーに聞く
ソニーが作ったおもちゃ「toio」のロボットはなぜシンプルで四角いのか?(1/2 ページ)
おもちゃ好きのエンジニアたちの放課後活動から生まれたソニーのトイ・プラットフォーム「toio(トイオ)」。「ソニーらしい新しい製品を作りたい」という思い、そして同社が長年培ってきたロボットとエンターテインメント技術の融合により生まれたtoioの特長やこれまでの取り組みについて、toioプロジェクトのリーダーを務める田中章愛氏に聞いた。
ソニーらしい新しい製品を作りたい――。
そのような思いを抱いたソニーのエンジニアたちが生み出したのが全く新しいおもちゃ、トイ・プラットフォーム「toio(トイオ)」だ。2017年6月に開催された「東京おもちゃショー2017」で発表されたその製品は、多くのメディアなどにも取り上げられ、数量限定特典付き先行予約の初回限定版も瞬く間にSOLD OUTとなった(同年12月1日から一般販売も行われる)。
なぜこれほど注目を集めているのか? なぜソニーがおもちゃを作ったのか? toioの特長やこれまでの取り組みについて、toioプロジェクトのリーダーである田中章愛氏に聞いた。
※本稿で掲載している「toio」の製品画像は開発段階のものとなりますので、実際の製品版と異なる可能性がございます。あらかじめご了承ください。
お知らせ:ITmedia Virtual EXPO 2017【メカ設計 EXPO 2017 秋】(参加無料)
本稿は、2017年9月5~29日に開催予定の「ITmedia Virtual EXPO 2017」の【メカ設計 EXPO 2017 秋】向け映像コンテンツ「エンジニアたちの放課後活動から生まれたソニー『toio』開発秘話」の内容をベースに作成しています。Virtual EXPOの映像コンテンツでは、本稿では紹介し切れなかった話や革新的な製品開発を行うためのヒント、新製品開発に挑戦するエンジニアに向けたエールなどが収録されています。
TVゲームでは得られない、体験や学びが得られる「toio」
まずは、toioの特長やコンセプトについて紹介しよう。
toioとは、ソニーが長年培ってきたロボット技術とエンターテインメント技術を融合した体験型玩具である。本体の「toioコンソール」、絶対位置センサーと加速度センサー、高性能モーターを内蔵したロボット「toioコア キューブ」(2個)、片手操作が可能なコントローラー「toioリング」(2個)で構成され、家庭用TVゲーム機のように“遊びのプログラム”が格納されたカートリッジ(toioカートリッジ)を交換することで、さまざまな遊びを楽しむことができる。メインターゲットは小学生の子どもたちだ。
ディスプレイの中でキャラクターたちが動くTVゲームなどとは異なり、目の前でロボット(toioコア キューブ)が動く。それもあらかじめ決められたキャラクターを動かすのではなく、子どもたちの自由な発想で生まれたキャラクターをレゴブロックや工作で表現し、それをtoioコア キューブに載せることで、「自分で作った、思いの詰まったもの(キャラクター)を主人公にして遊ぶことができる」(田中氏)。
遊びを盛り上げるtoioカートリッジが提供するタイトルも実にさまざまで、ロボコンのような対戦ものやパズル、生命体のような不思議な動きをするものなどが用意されている(5つの遊びが入った「トイオ・コレクション」、ユーフラテス監修の「工作生物 ゲズンロイド」の2タイトルが本体と同時発売される予定)。また、既に発表されているバンダイやソニー・ミュージックエンタテインメントだけではなく、それ以外との企業コラボレーションによる遊びのタイトルや企画なども続々と進行しているという。
toioの狙いは、「作る」「遊ぶ」「ひらめく」という“創意工夫の原体験”を子どもたちに提供することである。レゴブロックや工作などを用いて自分の手で作ったものが主役となり、それを動かして遊べる。そして、遊びの中から新しい工夫や発見といったひらめきを促す。あらかじめ決められた世界観の中で遊ぶTVゲームなどでは得られない体験や学びを得られるのがtoioの魅力といえる。
シンプルな四角いデザインには理由がある!
ソニーのロボットというと「QRIO」や「AIBO」などを思い出す方もいるだろうが、toioコア キューブは名前の通り、直方体の箱型ロボットだ。手足の付いた未来を感じさせるカッコいいデザインやペットのような愛らしいデザインの方が子どものウケが良いように感じるが、こだわりをもってシンプルさを追求したという。
その理由について田中氏は、「主役はtoioコア キューブではなく、子どもがレゴブロックや工作をして作ったキャラクターだ。自分で作ったものを載せたときに存在が消えてほしいと考え、toioコア キューブはシンプルな白い箱型のロボットにした」という。レゴブロックを取り付けたり、両面テープで紙の工作を張り付けたりしても違和感がなく、toioコア キューブが目立たないようなデザインを追求した結果、今のカタチに行き着いた。ちなみに、toioコア キューブの天面にはレゴブロックがはめられるレゴ公認のパターン(4つの突起部)があるのだが、パターンのデザイン自体はtoioプロジェクトが考えたそうだ。
実は、このシンプルな形状は量産化、製品化の際のコスト削減にも効果を発揮しているという。田中氏は「例えば、通常のロボットのおもちゃは、ロボットそのものがキャラクター(主役)であるため、製品としてパーツやデザインのバリエーションを幾つも用意する必要がある。しかし、toioの場合、主役は子どもがレゴや工作で作ったキャラクターなので、四角いシンプルなカタチの同じロボットを作ればよいので、コストダウンや効率化につなげることができる」と述べる。
もう1つ、子どもが自分で作ったものを主役に引き立てるためのこだわりがあるという。それがtoioリングだ。「電車のつり革のようなデザインをしているとよく言われるが、片手で操作できる点がポイント。実際に遊んでほしいのは、自分で作ったキャラクターを載せたtoioコア キューブ側なので、コントローラーはリング状にすることで、パッと手でつかんで、パッと手を離せることを重視した。片手を自由にすることで、遊んでいるフィールドに手を伸ばして自分で作ったものにどんどん触れてほしいという思いからこのようなデザインにした」(田中氏)。toioリングには、toioコア キューブを操作するためのジョグやボタンがある。また、加速度センサーを内蔵しており、toioリングを振ってtoioコア キューブを操作することも可能だ。
そして、toioの肝となるのが、toioコア キューブの底面に内蔵された絶対位置センサーである。「遊びのプログラムを楽しむためには、自分と相手、2つのtoioコア キューブの位置情報を本体であるtoioコンソールにリアルタイムに送信する必要がある。その役割を担うのがtoioコア キューブに内蔵された光学技術を用いた絶対位置センサーであり、表面に特殊な印刷が施された専用マット(toioカートリッジに付属)と組み合わせることで正しい位置を取得することができる」と田中氏は説明する。
toioコア キューブの絶対位置センサーで検出した位置情報はリアルタイムに、toioコンソールへと送信され、toioコンソールにセットされているtoioカートリッジのタイトルが提供する遊びのルールやシナリオ、アルゴリズムにあわせた制御指示を無線通信でtoioコア キューブに送り、正確な動きを実現する。
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