モノづくり技術者の転職ゲンバから(8)
技術未経験からモノづくり技術職へ――オリジナルマッチングによる転職成功事例(2/3 ページ)
それでは、そのようなリスクを承知の上で未経験から挑戦し、見事チャンスをつかんだ方々の実例を幾つか見ていきましょう。
大学中退からの就職活動
大学3年生の方からの相談でした。「家庭の事情ですぐにでも働かないといけない」というのです。あと1年何とかならないのか? と思う気持ちも分かりますが、そうできないのが家庭の事情です。幸いこの方の場合、仕事でやりたいことがハッキリとしていました。機械工学科で勉強しながら、研究も趣味も「ロボコン」という彼は、メカ的な要素の強い「機械設計職」を目指すことにしたのです。
しかし、就職活動をし始めて痛感したのが、「大学中退」に対する世間の厳しさです。理系新卒学生が売り手市場といわれるこの時代に、まさかここまで相手にされないとは思いませんでした。「これが日本社会の現実なのか」とガッカリするとともに、「だからこそ相性の良い企業を見つけなければ」と、キャリアコンサルタント魂に火が付きました。
幾つかお付き合いのある企業に相談したところ、「大学中退なんて気にしない」といってくれた企業がありました。早速、書類をそろえて提案に伺うと、ロボコンの内容、人柄、キャリアビジョンなど、詳しく話を聞いてくれました。そして、ロボコンでの経験を高く評価してくれました。本人にとってもこれが何よりうれしかったそうです。一番努力してきたことを、技術のプロから評価されたわけですから当然ですね。そして、面接などの選考を行い、無事に入社となりました。自宅から遠い、少数精鋭の企業(ベンチャー)である点など、一般的な転職の際に不安要素となる事項が幾つかあったのですが、本人は迷わず決断し、やりたいことへ歩み出しました。
そして、入社後しばらくたって連絡をしてみると、本人も非常にやりがいを感じながら働いており、上司の方も「予想以上の成長力だ」と高く評価してくれていました。
フリーターからの就職活動
大学で建築系の学科に進んだものの中退してしまい、数年間飲食店でアルバイトをしていた方からの相談でした。
最初の言葉は「未経験だと営業職しかないのでしょうか?」という内容でした。大学中退後、就職活動をしたものの、中退だとなかなか選考してもらえず、大学中退でも受けられる公務員試験を目指したそうです。しかし採用には至らず、学生時代から続けていた飲食店でのアルバイト先では、店長代理のようなポジションになっていました。飲食店から声も掛かっていたようですがそれを断り、研修をしながら就職支援をしてくれるサービスに出会い、研修と就職活動をスタートさせたそうです。そこで「今の年齢から飲食業アルバイトだけの経験で就職できるのは営業職しかない」とアドバイスをもらい、営業職向けの研修や飛び込み営業での実践などを経験してきたといいます。
しかし、本人に話を聞いてみると「自分の好きな技術職にチャレンジしたい」というのです。突き詰めていくと、学生時代に勉強していた建築系でもなく、どちらかというと趣味で行っていた機械いじりの方がイメージに近かったようです。そこで、小さい開発部門を持った企業への提案を試みました。組織のバランス上、若手を育てたいという考えだったので、ポテンシャル採用として提案しました。この企業の素晴らしい点は、本当の意味での「人物重視」だったことです。未経験な上に、専門教育を受けていないモノづくり設計職としてのチャレンジでしたが、本人の意欲と、アルバイトや趣味の継続性から「諦めずに結果が出るまで努力できる人物だ」と評価してもらえました。
入社後は、CADの勉強やお手伝いから始め、半年後には担当顧客を持ち、1年後にはすっかり一人前の設計者になり、今では将来部門責任者を期待される技術者になりました。
営業職から設計職へ
意外に多いのが、営業職から設計職へのキャリアチェンジです。モノづくり業界で営業職をしていると、技術職、特に設計職への憧れを抱く方が多いようです。「自分で良いモノを作れるようになりたい」という気持ちは確かに分かりますよね。
実際に成功したのはこういう方でした。大学生のときは機械工学を専攻し、研究室ではロボット関係の開発などを行い、その後の大学院進学もほぼ決まっていたそうです。しかし、家庭の事情で大学院には進まず、家のことを手伝いながら働くことになりました。ブランクがあったことで、当時は設計職になれなかったそうですが、それでもモノづくりが好きなことには変わりなく、少しでも機械に関わることができるようにと機械メーカーの営業職で就職しました。
それはそれでやりがいもあり、順調に頑張っていたようですが、現場で設計職の方と話せば話すほど、自分でもやってみたいという思いが強くなっていったそうです。最初は自分のツテを頼りに設計職へのチャンスを探したのですが、なかなか見つからず、ワラにもすがる思いで筆者のところへ相談に来たといいます。ちなみに、年齢は30代です。お互いに苦戦するだろうと覚悟を決め、長期計画で転職活動をすることにしました。既に自己学習を始めていて、カバンにはいつも機械工学に関する本が入っていました。
いろいろな企業を回っているときに、この方が大学時代に取り組んできたロボット開発の研究を評価してくれる企業が出てきました。ちょうど機械設計職を1人採用しようと考えていたらしく、ポテンシャル採用でも構わないといってくれました。ただし、働き出しの給与は新卒に毛が生えた程度しか出せないとのことでした。
その話を本人にすると、「給与が下がることは覚悟していたので、ぜひチャレンジしたい」と前向きな返答をもらい、すぐに面接となりました。ここで生きたのが、営業職で鍛えられたコミュニケーション能力です。技術者でも社内外のコミュニケーションは大切ですし、この企業は特に顧客とのコミュニケーションを重視していました。そのため、ポテンシャルとともに営業での実務経験も評価されて、無事に入社が決まりました。
入社後に連絡を取ると、継続的に勉強していただけあって、知識もCAD操作なども飲み込みが早く、入社3カ月ほどで資格を1つ取得していました。採用企業からの評価も上々でした。
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モノづくり技術者の転職ゲンバから
転職を考えているエンジニアの皆さん! これからの転職活動に不安はないでしょうか? 本連載では“転職活動のリアルなお話”を交えながら、皆さんの今後のキャリアを考える上でのヒントを提示していきます。自身の転職、エンジニアとしてのキャリアビジョンを見つめ直すきっかけにご活用ください。
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