モノづくり技術者の転職ゲンバから(4)
企業がキャリア採用に求めるものとは? ちょっとリアルなお話【人物重視編】(1/2 ページ)
転職を考えているエンジニアの皆さん、これからの転職活動に不安はないでしょうか。本連載では“転職活動のリアルなお話”を交えながら、皆さんの今後のキャリアを考える上でのヒントを提示していきます。第4回では、技術者転職における“人物重視”の選考について深堀したいと思います。
前回は、企業が技術専門職のキャリア採用に求めるものをテーマに、“技術スキル”の側面から選考時のポイントや実際の採用事例を幾つか紹介しました。今回はその続きとして、“人物”の側面から見たキャリア採用のちょっとリアルなお話をお届けします。
人物重視の選考とは?
よく、「うちの会社は、人物重視の選考をしています」という話を聞きます。経歴だけに捉われず、その人物をしっかりと見て選考するということは、非常に良いことだと思います。しかし、この人物重視の選考という言葉や考え方は、応募して選考を受ける側の技術者と、選考する側の企業とでは、考えや感覚が違う恐れがあります。以降で、それぞれの違いについて整理していきましょう。
技術者(選考を受ける側)の目線
選考を受ける側の技術者からすれば、“人物重視”の言葉の通り、「面接時に“人”として気に入ってもらえれば、経歴不足はそれほど関係ない」と考えるのが自然かもしれません。そう捉えると、新卒時の就職活動に似ているようにも感じます。学校卒業後の初めての就職であれば、当然ながら実務経験はありませんので、面接時は一生懸命に学校での取り組み(勉強内容、研究内容、趣味も含めて技術的な内容など)についてアピールするはずです。採用企業からしても業務未経験の学生を一から教育することになりますから、学校での勉強内容や成績は“興味の対象”としての確認程度で、実際は面接や適性検査、グループディスカッションでの内容や振る舞いを重視し、“人物としての将来性”を高く評価することになります。
では、キャリア採用をしている企業が「うちは人物重視の選考をしています」とうたっていた場合、新卒時の就職活動と同じようにいくのでしょうか?
採用企業側の目線
人物重視といえどもキャリア採用の場合、技術経歴の面についても“最低限の条件”をクリアしている必要があります。それもそのはず、採用企業側はまず「履歴書」と「職務経歴書」を確認し、募集基準をクリアしている人物を絞り込んでいるからです。
人物重視の選考はそこから先の面接の話であって、当然ながらその際に技術的内容の確認も行われます。新卒時の就職活動との大きな違いは、書類選考という最初のハードルで技術経歴のチェックが入ること、そして、その後の面接でも人物の評価と同時に技術的内容の確認が行われる点にあります。そのため、選考を受ける技術者は、人物重視だからといって油断してはなりません。
では、キャリア採用における人物重視とは一体なんでしょうか? よく企業の面接官が見るポイントとして挙げられるのが、「素直さ」「真面目さ」「探究心」「成長意欲」「企業・職種への意欲」「覚悟」などです。
要するに「この人は、うちの会社で活躍できるかな? 成長できるかな? 相性は良いかな? 辞めないかな?」といったポイントをチェックしているわけです。中でも、「辞めないかな?」という点を重要視している企業が多くあります。それも当然といえば当然です。最低でも一度は会社を辞めて転職活動をしているわけですから、採用企業としても「また同じような理由でうちの会社を辞めないか?」を慎重に判断する必要があります。
人や立場が変われば、選考ポイントも変化する!
人物として適正かどうかの選考を行う面接官は、多くの場合、人事担当者か管理職以上~役員クラスの方が務めています。こうした立場の人たちは、これまで多くの人を見てきているので、“人物を選考する目”は鋭いものを持っています。中には「初対面のあいさつを交わしただけで、おおよその人となりが分かる」と豪語する面接官もいるくらいです。
面接本番、当然ですが、誰しもが良い第一印象を与えたいと考えるはずです。しかし、相手は人事のプロですから、直前に小細工をしてもほとんど意味がありません。書店に並ぶ面接マニュアル本の「面接の印象を良くするテクニック」も、恐らく間違ったことは載っていませんし、知っておいて損はない情報だと思います。しかし、マニュアル通りのやり方だけで、人事のプロを納得させるというのは至難の業でしょう。
では、人事面接で気を付けるべきことは何でしょうか? 筆者が面接へ向かう技術者の皆さんに伝えていることは、
- 元気よくあいさつする
- いつもよりも少し大きな声、少し高いトーンで話す
- 自分の考えをしっかり伝えることを意識する
の3つです。
「当たり前だろ!!」というツッコミがあるかと思いますが、面接試験という緊張の場で「当たり前のことを、当たり前にやる」というのが一番大事であり、難しいことなのです。そして、皆さんに気を付けてもらいたいのが、3つ目の「自分の考えをしっかり伝えることを意識する」です。これは「うまく話す」ということではありません。もちろん、うまく受け答えできるに越したことはないですが、うまく話せることが目的でも、求められている本質でもありません(営業職やアナウンサー面接では別の話かもしれませんが)。大切なのは「話す内容」であり、それを「どう伝えるか」なのです。
自身のポジションを理解することも重要!
仮に、あなたが25歳で初めて転職するとしましょう。選考する側は、あなたのことを恐らく「若手」と見るでしょうし、年齢的にも技術者としては「まだまだ経験不足」と判断する可能性が高いでしょう。そうなると、技術経験については確認程度で、基礎力がどれくらいあるか? どのように仕事に取り組んできたか? くらいの判断になるでしょう。つまり、「ポテンシャル採用」という要素が強くなります。そうすると、人物的側面という見方では“育てる対象”としてあなたを評価することになります。つまり、「教える相手としてどうか」「伸びしろがどれくらいあるか」「成長のスピードは期待できるか」という目線です。
では、35歳のときにこれまでの経験を生かして転職しようとした場合はどうでしょうか? このケースの場合、あなたのことを「中堅」と見ますし、技術者としてはこれまでの経験から「即戦力としての要素」と「プラスαの期待値」に目が向くでしょう。そうすると人物的側面という見方では、「経験もしっかりあり、働き盛り」「経験を生かしつつ、新しいことにもチャレンジしてほしい」「前職での経験をよい形で持ち込んでほしい」という目線であなたを評価することになります。
さらに45歳での転職ではどうでしょうか? 選考する側はあなたを「ベテラン」と見るでしょうし、技術者としては「即戦力」か、業界経験やマネジメント能力を期待して「管理職候補」として期待するでしょう。では人物的側面はどうでしょうか。ベテランとなると、今ある組織や人員を想像しながら、あなたが入ったらどうなるか? 「明確に活躍できそうなポジション」が与えられそうか? が重要になってきます。もしもメリットを見いだしてもらえれば、恐らく選考は順調に進むことでしょう。このときのポイントは、「適応力」「柔軟性」です。ベテランで、いくら即戦力とはいっても、これまでと全く同じ環境・仕事ではありませんから、現場に柔軟に適応できるかどうかは、採用する企業側が重要視するポイントの1つとなります。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
モノづくり技術者の転職ゲンバから
転職を考えているエンジニアの皆さん! これからの転職活動に不安はないでしょうか? 本連載では“転職活動のリアルなお話”を交えながら、皆さんの今後のキャリアを考える上でのヒントを提示していきます。自身の転職、エンジニアとしてのキャリアビジョンを見つめ直すきっかけにご活用ください。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] AIで脱炭素計画を最適化、初年度からエネルギーコストとCO2を削減する方法 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の開発動向、日本の投資戦略やコスト目標の見通しは?
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:フィジカルAIが生み出す新たな「設計思想」――電子版2026年8月号
-
2
半導体装置メーカー 業績まとめ【2027年3月期第1四半期】
-
3
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part4)
-
4
一時は時価総額トヨタ超え キオクシア2026年度の動向
-
5
微細配線間の絶縁劣化をどう捉える? 先端パッケージ評価の最前線
-
6
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part1)
-
7
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:2026年上半期の半導体業界を振り返る――電子版2026年7月号
-
8
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part3)
-
9
CADツールの見直しは本当に必要? 切り替えの理由と効果を7つの質問で検証
-
10
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part2)
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー