IIoT時代にこそ、日本のモノづくりが世界で強みを発揮する(5)
生産設備の全体最適化に目を向けなければ、現場の課題は解消されない――ヤマハ発動機(3/3 ページ)
AI採用で、増加する生産設備の最適化需要に対応
IIoTの実現に向けて製造業が動き始めた現在、ヤマハ発動機では、既に先を見据え、システム統合環境における人工知能(AI)の採用を検討している。村松氏は、「組み立ての精度をより向上させ、時間がかかる調整作業の部分を人工知能で置き換えていくことを考えている」という。2018年にはこの人工知能の採用が実現する見込みだ。生産設備のさらなる効率化に向けたヤマハ発動機では、さらにその先までも見据えている。
筆者 ヤマハ発動機では、製造ラインで稼働する前の最終プロセスを、人工知能を使って自動化していくのでしょうか。
村松氏 調整という作業は、ある特定の人の中に内在する経験的暗黙知なのです。これは他の人とはシェアすることが難しい性質のものです。単純なところでは、ロボットをいかに素早く動かすか、いかに振動なく位置決めをするか、といった技術ですが、そこに一定のセオリーが必ずあります。そのセオリーを人工知能に学ばせるのです。さらに、プログラムの一部を人工知能で自動作成することも中長期的に検討しています。2016年に発表したロボットシステム「Advanced Robotics Automation Platform」が第1弾であり、それに続く第2弾が調整分野などの人工知能化、さらに第3弾がプログラミングの人工知能化ということです。
今回は、生産設備の全ての層を網羅的につなげることで、開発効率を上げ、生産設備全体最適化への取り組みを図っているヤマハ発動機の事例を紹介しました。これまでの連載で筆者が指摘してきた課題に早くから気付き、その解決策となる製品開発に積極的に取り組まれています。
著者紹介:
リンクス 代表取締役 村上 慶(むらかみ けい)
1996年4月、筑波大学入学後、在学中の1999年4月、オーストラリアのウロンゴン(Wollongong)大学に国費留学、工学部にてコンピュータサイエンスを学ぶ。2001年3月、筑波大学第三学群工学システム学類を卒業後、同年4月、リンクスに入社。主に自動車、航空宇宙の分野における高速フィードバック制御の開発支援ツールであるdSPACE社製品の国内普及に従事し、国内におけるトップシェア製品となる。2003年、同社取締役、2005年7月、同社代表取締役に就任。
同社代表取締役に就任後は、画像処理ソフトウェアHALCONを国内シェアトップに成長させ、産業用カメラの世界的なリーディングカンパニーであるBasler社と日本国内における総代理店契約を締結するなど、高度な技術レベルと高品質なサービスをバックボーンとした技術商社として確固たる地位を築く。次のビジネスの柱として2012年7月にエンベデッドシステム事業部を発足し、3S-SmartSoftware Solutions社の国内総代理店となる。(2016年10月現在)
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IIoT時代にこそ、日本のモノづくりが世界で強みを発揮する
IoT、インダストリー4.0がこれほどまでに盛り上がり続けるのは、その将来像への賛同だけではなく「現時点で材料となる技術はそろっていて、決して夢物語ではない」と多くの人が感じているためである。日本のモノづくりは改善を重ねることで着実に世界をリードしてきたが、第4次産業革命で求められる非線形なモノづくりの進化をリードしていくためには、「製造現場のガラパゴス化」を解消することが急務だ。本連載では、日本のみならず世界的に盛り上がりを見せるIIoTの技術で製造業はどう変化していくのか、日本の製造業がその変化に追従していくためのボトルネックとなる国内製造業のガラパゴス化について解説する。
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