モノづくり技術者の転職ゲンバから(3)
企業がキャリア採用に求めるものとは? ちょっとリアルなお話【技術スキル編】(3/3 ページ)
即戦力でなくても希望はある!? ポテンシャル採用の実例
ここで、技術者の皆さんにはぜひチャレンジをしていただきたい! という気持ちを込めて、幾つかの事例を紹介したいと思います。
業界は違うが、ベースになる技術経験を生かせる!
チャレンジする業界が異なっても、基礎となる部分でこれまでの技術経験が生かせるというケースです。これがポテンシャル採用で可能性の一番高いパターンだといえます。技術には必ず、基礎や共通して通じる部分があります。業界そのものや作ってきた製品が異なれば、実務で求められる技術や考え方も違ってきますが、これまで培ってきたベースとなる技術が全くのムダになるわけではありません。自身の技術や知識を生かしながら、異なる部分は実務で覚えながら吸収していけばよいのです。
正直にいって、採用企業側が求める“即戦力”に100%マッチする理想の人材は、引き抜きでもしない限り出会えません。ですから、ポテンシャル採用の可能性は十分にあり得るのです。例えば、機械設計職の方であれば、共通する素材(金属か樹脂か)や設計対象(筐体か機構か)といった部分でも、採用企業側が求める人材のベースとして生かすことができます。同じく電気設計職でも、デジタルかアナログか、強電か弱電か、マイコンかFPGAか、もしくはPLCかといったように業界や製品が異なっても共通部分を見いだして、そこをアピールすることが十分に可能です。
業界もベース技術も違うが、とにかくチャレンジしたい!
こちらは、新しい分野へ挑戦しようというケースです。この場合、正直にいって、年齢や給与にも大きく関係してきます。「これまで製造・組み立てを行ってきて年収500万円でした。次は機械設計に挑戦したいが、年収は500万円のままでお願いします!」といっても通るはずがありません。チャレンジを選択するからには、年収が下がっても仕方がないという覚悟は必要です。
このパターンですが、前述のケースほど多くはありませんが、成功事例も出始めています。例えば、「現場仕事から設計職へのキャリアチェンジ」「技術営業から技術職へのキャリアチェンジ」などです。最近、多いキーワードは「設計職にチャレンジしてみたい」というものです。ただし、皆さんに注意してもらいたいのは「やりたい!」だけではダメということです。設計にチャレンジしたいのであれば、まずはご自身でできる努力を開始すべきです。何も行動に移さないで、ただ「やってみたい!」と要求している人と、「設計職にチャレンジするために、現在○○のような努力をしています」といえる人であれば、どちらを採用しますか? 言うまでもありませんよね。このケースで転職に成功している人は、キャリアチェンジのために努力をしてきた人だといえるでしょう。
35歳でも大丈夫!? 未経験者採用の可能性
最後にご紹介するのは、最近「未経験者採用」に関する相談が増えているという点です。「そんなうまい話なんてあるはずがない!」とご指摘を受けそうですが、実際にあるのです。
それは、これまで「第2新卒採用」と呼ばれ、最終学歴校を卒業してから一度就職し、その後短期間のうちに転職を希望する人たちを対象にした採用ケースです。企業や職種などにより条件も異なりますが、「専攻が希望職とマッチしているか」「該当する資格を保有しているか」「(もしくは)入社してから3カ月以内に該当資格を取得できそうか」といった条件・ポイントで専攻され、筆記試験なども実施されます。
このケースの場合、未経験でもチャレンジできるという点で非常に魅力的です。これまで、第2新卒採用は基本的に若い人(新卒入社後、短期間で転職しようとしている人)だけを対象にしたものでしたが、昨今はその幅がもう少し広がり、「未経験者採用」として幅広く人材を募集する企業が増えてきています。例えば、35歳くらいまでを対象にした未経験者採用や、スタート給与が一律な代わりに年齢制限を設けない未経験者採用を行う企業が出てきています。
技術者になれるチャンスが増えることは喜ばしいことです。ただし、未経験者採用の場合、当然ながら前述のキャリアチェンジ以上の努力や姿勢が問われますので、しっかりとした準備が必要です。また、仮に入社できたとしても、数カ月間は研修を受けながら給与をもらうことになるかもしれません。その際、新卒気分で受け身になっていては成長も期待できませんし、周りの新卒よりも活躍できないようではその後の立場も危うくなるかもしれません。未経験で挑戦するわけですから、入社してからも人一倍の努力が必要なことは言うまでもないでしょう。
技術者の皆さんへ一言!
企業が技術者のキャリア採用に求めるのは、まずは“即戦力”に近い技術力です。そして、ポテンシャルを期待してもらえる技術者としての要素です。これらに関して、選考を通じて相手(採用企業)にしっかりと伝えるのは簡単なことではありません。普段の仕事や生活から意識して準備を進めていく必要がありますが、もし1人で準備ができないと感じたら、周りの方やプロに相談してみてください。
次回は、技術以外のポイントにフォーカスし、引き続き企業が“キャリア採用に求めるもの”について取り上げたいと思います。ご期待ください。(次回に続く)
筆者プロフィル
日本アルテック株式会社 浦林 次郎(うらばやし じろう)
大学(電気工学科)卒業後は、大手技術派遣会社へ入社。技術職としてデジタルカメラのハードウェア開発などを経験。その後社内キャリアチェンジにより営業職となり、自社社員の派遣先開拓、担当技術者のキャリアサポートを行ってきた。その中で、産業カウンセラー資格を取得し、自身の仕事を見つめ直したときに、さまざまな経験の中でもキャリア支援に特化した仕事をしたいと感じ退職。自身の転職活動で多くの人材紹介会社と接したことで、学んできた『キャリアコンサルティング』と、世の中の『人材紹介ビジネス』との埋められないギャップを痛感し、自分たちの考えが実現できる『日本アルテック』で『本物のキャリアコンサルティング』を目指し日々精進中。
日本アルテック株式会社 https://www.altechjp.com/
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モノづくり技術者の転職ゲンバから
転職を考えているエンジニアの皆さん! これからの転職活動に不安はないでしょうか? 本連載では“転職活動のリアルなお話”を交えながら、皆さんの今後のキャリアを考える上でのヒントを提示していきます。自身の転職、エンジニアとしてのキャリアビジョンを見つめ直すきっかけにご活用ください。
この記事の著者
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